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ワクチンと病気について

病気(VPD)について

日本脳炎について

  • 2023.05.07
  • 定期接種
  • 任意接種
  • 不活化ワクチン
  • 小児
  • 渡航者

日本脳炎とは

 日本脳炎ウイルスに感染したブタを、蚊(主にコガタアカイエカ)が吸血し、その蚊が人を刺すことで感染する感染症で、主に急性脳炎を起こします。日本脳炎ウイルスを保有するブタは、西日本を中心に日本でも広い地域で確認されています。以前は小児や高齢者に多くみられた病気でしたが、予防接種が行われるようになった現在は、患者数は減少しました。しかし、今でも毎年数例発生しており、2007ー2016年の10年間で合計55名の報告がありました1)。また、2005−2009年には九州四国地方で、2015年には千葉で乳幼児患者の報告もみられています2)
国外でも、毎年約6万人以上の日本脳炎患者が発生していると推計されており、特に、インド、中国、ベトナム、フィリピン、ミャンマー、タイ、マレーシアなどでは今でも毎年数十例以上報告されています。蔓延地域への渡航時も重要なVPD(ワクチンで予防できる病気)です 3)

 感染しても有効な治療方法がなく、特に小児は重症化して後遺症を残したり、死亡する可能性もあるため、予防接種による予防が大切です。

感染経路

蚊を介した感染

潜伏期

6-16日

周囲に感染させるうる期間

人から人には感染することはありません

感染症法

4類感染症(全数報告:直ちに届け出が必要)

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主な症状は
 日本脳炎ウイルスに感染しても症状がでるのは100-1000人に1人で、殆どが無症状です。しかし症状が出た場合は発熱、頭痛、痙攣(けいれん)、意識障害の他、筋硬直(きんこうちょく)、不随意運動(ふずいいうんどう)、麻痺などの神経症状を引き起こし重症化します。感染し発症した人のうち約20-40%が死亡し、小児や高齢者ではその危険性がさらに高くなります。発症後、生存したとしても、45-70%に精神障害などの後遺症が残るといわれています4)

 

診断方法は
 日本脳炎が疑われた場合は、血液の抗体価を測定して診断します。夏期に脳炎患者がいた場合は日本脳炎を疑う必要があります。ただし、検査には日数を要するため、臨床診断に頼らざるを得ない現状があります。

 

治療法は
 有効な治療方法がなく、対症療法が中心となります。

 

予防法は
 蚊に刺されない対策と予防接種が中心になります。蚊に刺されないようにするため、長袖長ズボンの着用、虫除け剤の使用などが勧められます。養豚場の多い地域や媒介蚊の生息しやすい水田の近くなどでは特に注意が必要です。ワクチン接種により日本脳炎の罹患リスクを75-95%減らすことができると言われており4)、忘れずに予防接種を受けることが重要です。


日本脳炎ワクチンについてはこちらを参照。


参考文献・サイト

1)日本脳炎2007-2016年 IASR Vol. 38 p.151-152: 2017年8月号. 国立感染症研究所.


2)日本脳炎罹患リスクの高い者に対する生後6か月からの日本脳炎ワクチンの推奨について. 日本小児科学会.

3)日本脳炎に関する最近の状況 IASR Vol. 43 p135-137: 2022年6月号. 国立感染症研究所.


4)日本脳炎. 厚生労働省.