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ワクチン情報

新型コロナワクチン

  • 2024-10-10
  • 定期接種
  • 不活化ワクチン
  • 小児
  • 成人
  • 高齢者
  • 妊婦・妊娠可能な女性
  • 渡航者
  • 医療従事者

新型コロナワクチン(2024年版)

2024年(令和6年)からの制度変更

 新型コロナワクチンは2021年の導入以降、国が法律(予防接種法)で定める「臨時接種」という緊急時の扱いで、対象者全員に公費による無料接種が行われてきました。この臨時接種は2024年3月末で終了し、2024年4月以降は高齢者だけを対象にした「定期接種」に切り替わりました。この定期接種での公費による負担は金額の一部であり、対象者もある程度の自己負担額が発生します。対象者以外の方は全額を自己負担で接種します。

制度変更の背景:新型コロナワクチンの効果の変遷とウイルスの変異

 新型コロナワクチンが2021年に初めて導入された当初は、感染そのものを予防する効果が95%、感染した場合でも重症化(入院や死亡)を予防する効果が90%以上と、劇的と言っていい効果を示しました。
 しかし新型コロナウイルスは他の病原体にも例を見ないほど短期間で変異を繰り返し、せっかくのワクチンも効きづらくなるほど姿形を変えてきました。mRNAワクチンは設計から流通までわずか数ヶ月のスピードで改良版を作ることができますが、新型コロナウイルスの変異速度はそれを上回っています。そのため、設計するときに狙った変異株はワクチンが流通する頃には世の中からほぼ消えてなくなり、代わって流行している新しい変異株には改良版ワクチンも感染予防効果が今ひとつ、という状況が定着してしまいました。
 一方で、ウイルスが変異しても、ワクチンによる重症化予防効果はそれほど低下しません。新型コロナウイルスの変異とはウイルスの表面の形が一部変わることを意味しますが,感染予防につながる部分の形は激しく変わるのに対し,重症化予防につながる部分の形はそれほど変わらないのです。これは新型コロナウイルスの変異の特徴です。そのため、最新改良版のワクチンを打っておけば、少々変異が進んでも重症化の予防効果は十分期待できます。
 また、ウイルスの変異は、2021年末に登場したオミクロン株のまま2024年現在もずっと続いています。オミクロン株という大きなグループの中で、細かく変異し続けています。オミクロン株は、それ以前の変異株に比べると肺炎になる確率が低くなり、特に若くて健康な方には殆ど肺炎を起こさなくなりました。若くて健康な方にとっては、当初ほどは怖いウイルスではなくなりました。しかし感染すると若い人でもいわゆるコロナ後遺症を残したり、小児では川崎病のような重い合併症が出ることも稀にあります。決して「風邪と同じになった」わけではありません。そして、高齢者や基礎疾患のある方にとっては、オミクロン株でも引き続き肺炎を起こしたり、感染が引き金で基礎疾患が悪くなったりして、やはり「命に関わる病気」のままです。
 
 これらの、ウイルス自体の変異とそれに伴うワクチン効果の変化から、新型コロナワクチン接種の国としての戦略は大きく変わりました。すなわち、「多くの方に接種してもらって,感染そのものを大きく減らそう」という発想から、「命に関わりやすい方に絞って接種してもらって、重症化を減らそう」という発想に転換したのです。
また、ウイルス変異に対しては、ワクチン設計に最も相応しい変異株を世界保健機関(WHO)が推奨する仕組みもできました。日本もその推奨を参照して国としてのワクチン設計を決めています。2024/2025接種シーズンではWHO推奨に従って「オミクロン亜系統JN.1株」でワクチンが設計されます。

2024/2025年接種シーズンで利用可能な新型コロナワクチン

2024/2025年接種シーズンで利用可能な新型コロナワクチンは表のとおりです。
 
10月現在商品名対象年齢ワクチンの製法製薬会社
接種可コミナティ
6か月~4歳
5歳~11歳
12歳以上
mRNAワクチンファイザー
接種可スパイクバックス
6か月~4歳
5歳~11歳
12歳以上
mRNAワクチンモデルナ
接種可ダイチロナ12歳以上mRNAワクチン第一三共
準備中コスタイベ
 
自己複製型mRNAワクチン(レプリコンワクチン)
Meiji Seika
ファルマ
接種可ヌバキソビッド 組み換え蛋白ワクチン武田
 
 新型コロナワクチン製剤は2024/2025年接種シーズン向けには、mRNAワクチン3種類と組み換え蛋白ワクチン1種類に加え、「自己複製型mRNAワクチン(別名レプリコンワクチン)」(Meiji Seikaファルマ)という新しい製剤が加わりました。レプリコンワクチンは従来のmRNAワクチンに比べてごく少量のmRNAを接種するだけで、ヒトの細胞の中でmRNAが分子として自己複製し量が増え、結果的にワクチンの元になる蛋白(抗原)が十分作られるという仕組みです。mRNAは細胞の中で自己複製されますが、ウイルスそのものではないので、ワクチン自体でウイルス感染が起きたり他人に移したりすることは決してあり得ません。

2024年以降の新型コロナワクチンの考え方

 定期接種の対象者(65歳以上の高齢者、および60-64歳で心臓・肺・腎臓・免疫に障害のある方)には引き続き積極的に接種を受けていただき、重症化を予防して命を守ってください。それ以外の年齢の方でも、基礎疾患があって重症化が心配される場合には、任意接種で積極的に受けてください。
 若くて健康な方は、接種の目的は重症化予防よりは感染予防がメインになるでしょう。ただし感染予防効果は、接種してから数ヶ月間、感染する確率がおおよそ半分に下がる程度だと理解してください。残念ですが、接種しても感染する可能性はある程度残り、当初の95%のような高い感染予防効果はなく、3ヶ月程度で消えてしまいます。そのため、例えば受験等の大事な行事の1ヶ月ほど前に接種するなどの、個別の工夫を検討してください。
 より具体的な接種時期については担当の医師とご相談ください。

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