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ワクチンと病気について

病気(VPD)について

風しん(三日はしか)について

  • 2023-05-07
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風しんとは

 風しんウイルスの感染によって起こる急性ウイルス性発疹症です。主な症状として発熱、発疹、リンパ節腫脹がみられますが、不顕性感染(感染しても症状が出ない)で終わることも多いのが特徴です。妊娠中に感染すると胎児が先天性風しん症候群を発症することがあり注意が必要です。
 日本では、2012年頃より大規模な流行が始まり2013年には年間14,344名の風しん患者が報告されました。それに伴い、2012年10月-2014年10月までに45名の先天性風しん症候群患者が発生しています1)。その後は、予防接種の積極的勧奨や啓発活動などにより風しん患者数は、2016年126名、2017年91名と減少傾向でしたが、2018年は2941名、2019年は2298名が報告されました。それに伴い、2019〜2021年に6名の先天性風しん症候群患者が発生しています。2020年以降は発生数が減少し、2020年は101名、2021年は12名、2022年は15名となりました2)

感染経路飛沫感染、接触感染
潜伏期14-21日
周囲に感染させうる期間発疹出現前後1週間3) 
感染力(R0)※15-74) 
学校保健安全法第ニ種(出席停止期間:発疹が消失するまで)
感染症法
5類感染症(全数報告:直ちに届出が必要)
※1 R0:基本再生産数:集団にいる全ての人間が感染症に罹る可能性をもった(感受性を有した)状態で、一人の感染者が何人に感染させうるか、感染力の強さを表します。つまり、数が多い方が感染力が強いということになります。

主な症状は

 2-3週間の潜伏期の後、軽い発熱と同時に淡い発疹が全身に出現し、頚部を中心にリンパ節腫脹がみられるのが特徴です。発疹は3-5日程度で消失するため"三日はしか"とも呼ばれます。不顕性感染(感染していても症状が出ないこと)もあり(15%程度)、また症状が軽いため診断に至らないことも多いです。
 基本的には予後良好ですが、ときに血小板減少性紫斑病や脳炎を合併することがあります。女性が妊娠中に風しんにかかると、胎児が難聴、先天性心疾患、白内障、精神運動発達遅滞などを伴う先天性風しん症候群を発症することがあります。妊娠初期の感染率は非常に高く(妊娠4-6週で100%、7-12週で80%、13-16週で45-50%、17-20週で6%、20週以降で0%4)、中には不顕性感染で妊婦に症状が出ない間に先天性風しん症候群を発症しているケースもあります。また、2012-2014年に報告された45例の先天性風しん症候群の児を生んだ母親の中で、風しん含有ワクチンを2回接種した人は0人でした5)。つまり、妊娠前に、過去の接種歴から、風疹含有ワクチンの必要性を検討することが非常に大切です。

診断方法は

 発熱、発疹ともに特徴的とは言えないため、疑った場合に血液検査で診断(血清診断)を行います。

治療法は

 有効な治療方法がないため、対症療法が中心となります。

予防法は

 手洗い、うがいなどによる予防はある程度は有効です。
 上述のように妊婦が感染すると胎児合併症のリスクがあるため、感染者が発生した場合には、妊婦への感染防止対策(飛沫感染および接触感染予防)が必要となります。
 ワクチンの2回接種が有効のため、妊娠可能年齢の女性または妊娠を計画している女性は、あらかじめ(妊娠の2ヶ月前までに)接種回数の不足分を計画的に接種することを推奨します。また、女性だけでなく男性(特に妊娠予定女性のパートナー)や家族もワクチン接種を行い、風しんを流行させないことが重要です。
 
麻しん風しん混合(MR)ワクチンについてはこちらを参照。

参考文献・サイト

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