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肺炎球菌感染症について

  • 2024-09-26
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肺炎球菌感染症とは

 肺炎球菌感染症とは、肺炎球菌という細菌が起こす病気の総称で、肺炎のほかにも中耳炎、副鼻腔炎、髄膜炎(ずいまくえん)などが含まれます。肺炎球菌は主に乳幼児の鼻やのどの奥に高頻度(20-50%)に常在(保菌)し1)、成人では3-5%に常在しています2)。保菌者のすべてが発症するわけではなく、小児では無症状での保菌が多いです。
 咳をすることによって唾液などを通じてヒトからヒトへ感染し(飛沫感染)、小児の細菌感染症の主な原因菌です。また高齢者の一般的な肺炎の原因でもっとも多い菌のひとつです。

感染経路飛沫感染
潜伏期間状況により異なる
周囲に感染させうる期間保菌している間は感染の可能性がある
学校保健安全法登校(園)基準:発熱、咳などの症状が安定し、全身状態が良いこと(必ず出席停止を行うべきものではない)

主な症状は

 肺炎球菌が感染した体の場所によって、症状や経過は異なります。
中耳炎では、耳の痛み、耳漏(みみだれ)、難聴、発熱などの症状がみられます。
肺炎では、食欲が落ちたり、咳、痰、発熱、息苦しさ、呼吸が速くなるなどの症状がみられますが、とくに高齢者ではこれらの症状がはっきりしない場合があり注意が必要です。
菌血症(きんけつしょう)では、発熱が主な症状ですが、より重症化すると敗血症と呼ばれる状態になり、血圧低下、播種性血管内凝固症候群(DIC)、多臓器不全などの命に関わる重篤な症状がみられます。
髄膜炎では、発熱、頭痛、意識障害、項部硬直(首を曲げられない)、けいれんなどの症状がみられます。
肺炎球菌に感染したときに体の抵抗力の低下などの要因が重なると、菌が体の奥深く(血液や髄液など)まで侵入して重症化することがあります。これを侵襲性肺炎球菌感染症(IPD; invasive pneumococcal disease)と呼び、菌血症や敗血症、髄膜炎などへと進展します。
2009年時点(わが国で小児への肺炎球菌ワクチンが定期接種化される前)では、5歳未満の人口10万人あたりのIPDの年間罹患率(1年間にIPDにかかる割合)は、23.6人/10万人・年(国内の年間患者発生数はおよそ1300人)と報告され1)、とくに2歳未満の乳幼児でリスクが高いといわれています。肺炎球菌による髄膜炎を起こすと、2%の子どもが亡くなり、生存した子どもの10%に難聴、精神発達遅滞、四肢麻痺、てんかんなどの後遺症が残ったと報告されています1)
 また、わが国の高齢者(65歳以上)のIPD罹患率および致死率は2015年時点で2.85/10万人・年および9.1%3)、2021年時点で2.21/10万人・年および7.3%4)と高かったことが報告されています。

診断方法は

 痰や血液などの塗抹・培養検査や尿検査(尿中抗原)で診断します。

治療法は

 抗菌薬で治療し、重症化した場合は全身管理も必要となります。近年、抗菌薬の耐性化による治療困難な症例が増加しており、大きな問題となっています。

予防法は

 肺炎球菌に対するワクチンが有効です。現時点でわが国には4種類のワクチンがあります。肺炎球菌には少なくとも100種類の血清型がありますが、それぞれのワクチンは、IPDを起こしやすいと分かっている23種類、13種類、15種類、20種類の血清型に対応する成分を含んでいます。詳細はそれぞれのワクチンの解説をご参照ください。また、インフルエンザワクチンの併用も大切です。

23価肺炎球菌莢膜ポリサッカライドワクチン(ニューモバックス®NP)についてはこちらを参照。
肺炎球菌結合型ワクチン(沈降13価(プレベナー13®水性懸濁注)および沈降15価(バクニュバンス®水性懸濁注シリンジ)、沈降20価(プレベナー20®水性懸濁注))ついてはこちらを参照。

参考文献・サイト

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