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お知らせ

百日咳予防のため、就学前に三種混合(DPT)ワクチン接種を打ちましょう

  • 2020年01月10日掲載
  • ワクチン情報

 
百日咳は百日咳菌による呼吸器感染症です。年長児や成人では長引く咳の原因となりますが、年少児(特に6ヶ月未満の赤ちゃん)では重症化して命に関わることもあり、これが非常に大きな問題です。
以前は百日咳を発症した方がどのくらいいるか正確には分かっていませんでしたが、2018年から制度が変わり、全ての患者を報告することになりました。2018年の1年間では11,190名の報告があり(図1)、6ヶ月未満(5%)、5-15歳(61%)、30-40歳代(14%)でピークを認めていました。ここで注目すべき点は、5-15歳の81%が定期予防接種の4回を終了していながら発症しているというところです 1)。

現在の定期接種制度では、四種混合(DPT-IPV)ワクチンを1歳未満に3回、1歳6ヶ月頃に1回接種し、百日咳含有ワクチンとしてはこの4回で終了となります。現在のワクチンは接種後数年で免疫力が低下することが分かっています。年齢別の百日咳抗体保有状況(図2)をみると、感染予防に必要な10EU/mL以上(青線)のグラフは、小学校入学前後より下がり始め9歳で最低値となっています 2)。このことから、現在の定期接種を終了していても学童期の感染予防としては十分でないことが分かります。

また、重症化リスクの高い6ヶ月未満の赤ちゃんの感染経路は、きょうだいや両親など、家族内感染が大半を占めています。特に3ヶ月未満の赤ちゃんは百日咳含有ワクチンを接種できないため、いかに周りの方々が感染しないようにするかが重要です。

百日咳に罹らないようにするためにも、周りの小さな赤ちゃんを守るためにも、免疫力が下がらないように就学前に三種混合(DPT)ワクチンの追加接種をお勧めします。また、11-12歳時に定期接種対象となっている二種混合(DT)ワクチンには百日咳ワクチンが含まれておりませんので、二種混合(DT)ワクチンを三種混合(DPT)ワクチンに変更するという方法もあります。
これらは任意接種の扱いとなってしまいますが、接種方法として海外では一般的であり、百日咳予防という面からは重要と考えられています。是非ご検討ください。

参考サイト:
  1. 国立感染症研究所「2018年第1週から第52週までNESIDに報告された百日咳患者のまとめ」
  2. 国立感染症研究所「2018年度感染症流行予測調査」