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新型コロナウイルス感染症(COVID-19)に対する BCG ワクチンの効果について

  • 2020年04月08日掲載
  • お知らせ

    BCGワクチンは1歳未満の乳児のためのワクチンです

     

    新型コロナウイルス感染症(COVID-19)が世界的に流行しており、連日COVID-19に関連するさまざまな情報が飛び交っています。

    その渦中、BCGワクチン接種国において、COVID-19による死亡率の低い傾向がみられることから、"BCGワクチン接種がCOVID-19に有効なのではないか"、というニュースが欧米で報道されました。それを受けて、3月末頃からオーストラリアやオランダでは、医療従事者を対象とした、COVID-19に対するBCGワクチン接種の有効性についての臨床研究が開始されています1)。この研究は始まったばかりで、その効果はまだ明らかではありません。




    <今、わかっていること>



    1. COVID-19に対するBCGワクチンの効果は、現時点では科学的に証明されていません。



    2. BCGワクチンは結核を予防する目的で接種しています。主な対象は乳幼児です。




    3. BCGワクチンの数には限りがあります。定期接種としての乳児への接種に合わせた数しか製造されていません。



    以上の理由により、小児、成人に対するBCGワクチン接種は推奨されません。

     

     

    BCGワクチンは、乳児(1歳未満)が重症結核感染症(結核性髄膜炎や粟粒結核など、結核による重い病気)になるのを予防するための生ワクチンです。日本では、予防接種法により定期接種として、生後5〜8ヶ月(遅くとも1歳になるまでの間)に接種することが推奨されています。

     

    <なぜ、日本ではBCGが"定期接種"なのか>

    日本は、世界の中でも結核“中"蔓延国(結核の流行度が、高・中・低の中で、"中"程度という意味)です。そのため、免疫力の弱い乳児が、重症結核感染症に罹患し致死的とならないよう、日本でBCGワクチン接種が推奨されています。一方、欧米などは結核"低"蔓延国のため、乳児期にBCGワクチンを接種する意義が低く、推奨されていません。

     

    <乳児以外にBCGワクチンを接種することはあるのか>

    BCGワクチンの効果は乳児に対して"のみ"認められているため、1歳以上の小児や成人が接種する科学的根拠はありません。そのため、乳児以外の小児、成人に対して接種することはありません。




    1)Murdoch Children’s Research Institute to trial preventative vaccine for COVID-19 healthcare workers. Murdoch Children’s Research Institute HP (March 27,2020)

    https://www.mcri.edu.au/news/murdoch-children’s-research-institute-trial-preventative-vaccine-covid-19-healthcare-workers  

     

     

    2)結核のBCGワクチンに関するQ&A 厚生労働省

    https://www.mhlw.go.jp/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/kenkou/kekkaku-kansenshou/bcg/index.html#Q03

     



    3)   新型コロナウイルス感染症(COVID-19)に対する BCG ワクチンの効果に関する見解【2020.4.3 Ver.2】日本ワクチン学会

    http://www.jsvac.jp/pdfs/kenkai.pdf




    日本プライマリ・ケア連合学会 予防医療・健康増進委員会
    ワクチンチーム

    2020年4月8日