ワクチンと病気について
インフルエンザワクチン
- 2021.03.02
インフルエンザワクチンについて
商品名:インフルエンザHAワクチン®(化血研、ビケン、生研、北里第一三共、フルービック など)
予防できる病気 | |
ワクチンの種類 | 不活化ワクチン |
定期/任意 | 定期接種(65歳以上および60-64歳で基礎疾患のある方) ※助成額は地域によります 任意接種(生後6ヶ月未満の乳児と上記を除く全ての方) |
接種回数 | 1回または2回(年齢による:表1参照) |
接種量 | 0.25-0.5ml(年齢による:表1参照) |
接種間隔 | 2回接種の場合は2-4週間以上あけて |
費用 | 1回約3,000-5,000円(施設により異なる) |
ワクチンの効果
インフルエンザワクチン接種の主な効果は重症化の予防です。
ウイルスを吸い込んだ後に発病する確率を減らす効果もありますが確実ではなく、年度によっても変動します。これは、毎年の流行株を予想してワクチン(A型2種類B型2種類の4価ワクチン)を製造するためです。
インフルエンザが重症化しやすいのは乳幼児、高齢者、基礎疾患を持つ患者さんですが、こうした方々だけでなく、その周りを取り囲む小児・青年・成人たちもワクチン接種を含めた予防措置を行いインフルエンザを防ぐ壁となることが、彼らを守ることにつながります。
どんな人にお勧め?
生後6か月以上のすべてのひとに接種することをお勧めします。
また、上記の重症化リスクのある人たちをはじめとして下記の人たちは接種の優先度が高い人としてCDC(米国疾病予防管理センター)では推奨しています。
ー生後6か月-5歳未満の乳幼児、50歳以上の成人
ー基礎疾患のある人(慢性呼吸器疾患、心疾患、腎疾患、神経疾患、血液・代謝性疾患※喘息・糖尿病を含む)、免疫不全のある人(HIV感染者を含む)
-インフルエンザ流行期に妊娠中または妊娠予定の人
-アスピリンまたはサリチル酸含有薬を服用中またはライ症候群発症リスクのある小児
-長期療養施設に入所中の方
-上記リスク患者を取り囲む人(医療従事者、上記患者の介護者や保護者、家族など)
接種スケジュール作成のポイント
毎年流行するピークの時期は異なりますが、おおよそ12-3月に流行するため、10-11月頃の接種がおすすめです。毎年流行する型が異なるため、毎年接種することをお勧めします。
ワクチンの副反応
ワクチン接種による一般的な副反応以外に、インフルエンザワクチンに特異的な副反応報告はありません。
ワクチンの禁忌
インフルエンザワクチンによるアナフィラキシーの既往のある方は禁忌です。また、インフルエンザワクチン接種後6か月以内にギラン・バレー症候群を発症したことがある方は、接種は禁忌ではありませんが、注意が必要です。主治医にご相談下さい。
その他、以前はワクチンの製造過程で卵白成分が使用されていたことから、卵アレルギーがあると接種できないといわれていましたが、2011年にACIP(米国予防接種諮問委員会)より、じんま疹が出る程度の卵アレルギーでは問題なく安全に接種が可能と明言されました1)。2016年には重症の卵アレルギーのある人もアレルギー対応ができる医療機関であれば接種可能と、適応が拡大されました2)。重症の卵アレルギーのある患者さんは念のため主治医にご相談ください。
表1:年齢別の接種量と回数の違い
年齢 | 接種量 | 接種回数 |
生後6ヶ月〜3歳未満 | 0.25ml | 2回 ※ |
3歳〜13歳未満 | 0.5ml | 2回 ※ |
13歳以上 | 0.5ml | 1回 |
※米国では、生後6か月-8歳未満の乳幼児は前年度に2回接種していれば、次年度は1回のみの接種でよいとされています3)。
参考サイト
1)インフルエンザワクチンの推奨. 米国予防接種諮問委員会(ACIP).
Prevention and Control of Influenza with Vaccines: Recommendations of the Advisory Committee on Immunization Practices (ACIP), 2011(英語)
2)卵アレルギーのひとのインフルエンザワクチンについて. 米国疾病管理予防センター(CDC).
Flu Vaccine and People with Egg Allergies(英語)
3)Prevention and Control of Seasonal Influenza with Vaccines: Recommendations of the Advisory Committee on Immunization Practices — United States, 2020–21 Influenza Season
Grohskopf LA,et al. MMWR Recomm Rep.2020;69