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ワクチンと病気について

妊娠可能女性・妊婦のワクチン

妊娠可能年齢の女性と妊婦のワクチン

  • 2018.06.01

<妊娠可能年齢の女性のワクチン>

 妊娠中に感染すると母体が重症化したり、胎児が感染し流産・早産のリスクになる感染症がいくつかあります。それらの中には、ワクチンで予防できる感染症(VPD)があり、妊娠希望の女性はあらかじめそれらVPDに対する免疫をつけておくことが、元気な赤ちゃんを産む上で非常に重要です。

 妊娠中に生ワクチンは接種できません。そのため、生ワクチンで予防できるVPDについては、とくに妊娠前に免疫をつけておく必要があります。母体が事前に免疫をつけておくことは、生まれた乳児の感染または重症化を予防することにもつながります。

 接種の時期・必要性についてはかかりつけの医師とご相談ください。

(VPD:Vaccine Preventable Diseases ワクチンで予防できる病気)

 

◆妊娠前に免疫をつけておくべき感染症(VPD)のリスト

ワクチンの種類

VPD

感染した場合のリスク・予防接種が望ましい理由

生ワクチン

麻しん

・流産・早産のリスクが上昇

・妊婦が麻疹にかかると非妊婦と比べて重症化しやすい

風しん

・先天性風しん症候群の予防

・妊娠初期にかかると先天性風しん症候群の発生がとくに高くなる(妊娠4-6週で100%、7-12週で80%、13-16週で45-50%、17-20週で6%、20週以降で0% 3))

水痘

・先天性水痘症候群の予防

・妊娠中期にかかると2%に先天性水痘症候群が発生する

・周産期水痘(妊婦の周産期の水痘に初感染する状況)の予防

おたふくかぜ

・妊娠初期の感染で流産率が上昇する

不活化ワクチン

インフルンザ

・妊婦は非妊婦と比べて重症化しやすい

・インフルエンザにかかると流産・早産の可能性がある

・妊婦に接種することで、出生児のインフルエンザ感染予防につながる

百日咳※

(※参照)

 

※生ワクチンについて

・予防接種が望ましい人:

 下記感染症にかかったことがなく、かつ、ワクチン接種回数が計2回に満たない、または接種歴が不明な場合。その他、各感染症の抗体価が不足している場合。

・接種回数:

 ワクチン接種回数の不足分(接種歴が1回なら追加で1回)。

  接種歴が不明な場合は2回接種を推奨します(いずれも1か月の接種間隔をあけて)

注)生ワクチン接種後は2か月間の避妊が推奨されます。

 

<妊婦のワクチン>

 妊婦に対するワクチン接種の目的は、妊婦が感染すると、非妊婦に比べ重症化しやすい感染症や、妊婦が感染することにより胎児に悪影響が生じうる感染症、また、産後すぐの乳児が感染すると重症化しやすい感染症を予防することです。

 妊婦に生ワクチンの接種は禁忌です。

 一方、不活化ワクチンは妊娠中でも接種が可能です。

 インフルエンザワクチンについては流行期に妊娠中の場合は接種することを推奨します。接種の時期はいつでも問題ないと言われていますが、かかりつけ医とご相談ください

(チメロサール含有ワクチンでも問題ありません。しかし、在庫があり、妊婦が希望する場合はチメロサール非含有ワクチンを接種しても良いです)2)。

 

◆妊娠中に免疫をつけておくべき感染症(VPD)のリスト

VPD

感染した場合のリスク・予防接種が望ましい理由

インフルエンザ

・妊婦は非妊婦に比べて重症化しやすいという報告がある。

・インフルエンザにかかることにより流産・早産の可能性がある

・妊婦に接種することで、出生児のインフルエンザ感染予防につながる

百日咳※

(※参照)

※百日咳の予防接種について:

 乳児(とくに生後6か月未満)が百日咳にかかると、重症化し時に致死的となることがあります。そのため、諸外国では妊婦(妊娠27週-36週)に対してTdap(成人用三種混合ワクチン)の接種を推奨しています。妊婦に接種することで、乳児の百日咳感染を予防する効果が証明されています。妊婦のみならず、乳児を囲む家族(父・兄弟姉妹など)も免疫をつけておくことが重要ですが、日本ではTdapは未承認ワクチンのため輸入ワクチンとして扱う医療機関で接種するしかないのが現状です。また日本でも成人用三種混合ワクチン(トリビック®)が日本では承認されていますが、妊婦への安全性は確立されていませんので、接種希望の際は取り扱いのある医療機関でご相談ください。


参考サイト・文献

1)妊婦の予防接種について. 米国疾病管理予防センター(CDC).  (英文)

2)日本産科婦人科学会、日本産婦人科医会.  産婦人科ガイドライン -産科編 2014.  p54-p57
CQ102 妊婦・授乳婦へのインフルンザワクチン、抗インフルエンザウイルス薬投与の安全性は?

3)先天性風しん症候群の発症リスク (英文)
Ghidini A, et al: Prenatal diagnosis and signifye of fetal infection. West J Med 1993; 159: 366-373 PMID: 8298593