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ワクチンと病気について

特別な状況のワクチン

無脾症、脾臓摘出、持続性補体欠損症

  • 2018.06.13

「無脾症、脾臓摘出、持続性補体欠損症」で推奨されるワクチンを紹介します。

ワクチンの接種回数や適応年齢、接種禁忌などの詳細は下記表をご確認ください。

各ワクチンの注意事項(脚注)は最後に記載しています。

 

接種歴や過去の感染歴がない、または不明の場合に推奨されるワクチン

インフルエンザワクチン

麻しん風しん混合(MR)ワクチン

おたふくかぜワクチン

水痘ワクチン

肺炎球菌ワクチン(PCV13)(日本での適応は生後2か月-6歳未満および65歳以上)

肺炎球菌ワクチン(PPSV23)

ヒブワクチン ※(日本での適応は生後2か月-5歳未満)

髄膜炎菌ワクチン(MenACWY)

ヒトパピローマウイルス(HPV)ワクチン:女性に

ヒトパピローマウイルス(HPV)ワクチン:男性に※

・Td/成人用三種混合(Tdap)

・髄膜炎菌ワクチン(MPSV4)※

・髄膜炎菌ワクチン(MenB) ※

・帯状疱疹ワクチン※

 

併存疾患がある、または適応がある場合にに推奨されるワクチン

A型肝炎ワクチン

B型肝炎ワクチン



無脾症、脾臓摘出、持続性補体欠損症でのワクチンスケジュール

ワクチン無脾症、脾臓摘出、持続性補体欠損症
インフルエンザ毎年1回接種
麻しん風疹混合(MR)状況によって1回または2回接種
おたふくかぜ状況によって1回または2回接種
水痘2回接種
肺炎球菌(PCV13)※(日本での適応は生後2ヶ月-6歳未満および65歳以上)1回接種
肺炎球菌(PPSV23)状況に応じて1-3回接種
ヒブ※(日本での適応は生後2ヶ月-5歳未満)1回接種
A型肝炎ワクチンの種類によって2回または3回
B型肝炎3回接種
髄膜炎菌(MenACWY)状況によって1回またはそれ以上
ヒトパピローマウイルス(HPV):女性に26歳までに3回接種
ヒトパピローマウイルス(HPV):男性に※21歳までに3回接種
Td/Tdap※Tdの代わりにTdapを1回接種し、その後10年毎にTdを1回追加接種
髄膜炎菌(MPSV4)※状況によって1回またはそれ以上
髄膜炎菌(MenB)※ワクチンの種類によって2回または3回
帯状疱疹※1回接種

接種歴や過去の感染歴がない、または不明の場合にワクチン接種を推奨する
併存疾患がある、または適応がある場合にワクチン接種を推奨する
禁忌(接種してはいけない)
推奨なし

 このページは、米国疾病管理予防センター(CDC)の「医療的状況または他の状況での成人のワクチンスケジュール」を参考にして作成しています。
日本で承認されていない、または適応外のワクチンは※をつけています。詳細はこれらのワクチンを扱っている医療施設等にご確認ください。

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各ワクチンの特別な状況での注意事項(脚注)

 
 

1.インフルエンザワクチン

一般事項および特別な接種対象者

インフルエンザワクチン」をご参照ください。

 

 

2.破傷風、ジフテリア、無細胞百日咳ワクチン

一般事項

DPT」「Tdap」をご参照ください。

 

特別な接種対象者

・妊婦はTdapの接種歴に関わらず、妊娠毎に妊娠中にTdapの1回接種を受けるべきであり、妊娠27〜36週の早期に受けることが望ましいです。

※Tdapは日本では未承認のワクチンのため接種を希望する際は輸入ワクチンの取り扱いのある医療機関で接種します。

 

 

3.麻しん風しん混合ワクチン、おたふくかぜワクチン、水痘ワクチン

一般的事項

麻しん風しん混合(MR)ワクチン」および「おたふくかぜワクチン」、「水痘ワクチン」をご参照ください。

 

特別な接種対象者

・麻しんまたは風しんに対する免疫が確立できていない妊婦は、出産後または妊娠中断後、退院前に病院(またはクリニック)で麻しん風しん混合(MR)ワクチンを1回接種するべきです。その後さらに1回接種すべきです(合計2回)。子育て中の妊娠していない女性で、麻しんまたは風しんに対する免疫が確立されていない場合は、MRワクチンを2回接種するべきです。

 

・おたふくかぜに対する免疫が確立できていない妊婦は、出産後または妊娠中断後、退院前に病院(またはクリニック)でおたふくかぜワクチンを1回接種するべきです。その後さらに1回接種すべきです(合計2回)。子育て中の妊娠していない女性で、おたふくかぜに対する免疫が確立されていない場合は、おたふくかぜワクチンを2回接種するべきです。

 

・水痘(水ぼうそう)に対する免疫が確立できていない妊婦は、出産後または妊娠中断後、退院前に病院(またはクリニック)で水痘ワクチン接種を1回おこない、その4-8週後に2回目の接種を受けるべきです。子育て中の妊娠していない女性で、水痘に対する免疫が確立されていない場合は、水痘ワクチンを2回接種するべきです。

 

・原発性または続発性の免疫不全(骨髄やリンパ系に影響を及ぼす悪性疾患や免疫抑制治療、細胞性免疫不全)をもつ成人は、麻しん風しん混合(MR)ワクチン、おたふくかぜワクチン、水痘ワクチンを受けてはいけません。

 

・ヒト免疫不全ウイルス(HIV)に感染している成人で、麻しん、風しん、おたふくかぜの免疫が確立していない場合、6か月間以上CD4+T細胞リンパ球数が200/μL以上のときは28日間以上あけて麻しん風しん混合(MR)ワクチンおよびおたふくかぜワクチンを2回接種するべきです。HIVに感染している成人で、CD4+T細胞リンパ球数が200/μL未満のときは麻しん風しん混合(MR)ワクチンおよびおたふくかぜワクチンを受けてはいけません。

 

・ヒト免疫不全ウイルス(HIV)に感染している成人で、水痘の免疫が確立していない場合、6か月間以上CD4+T細胞リンパ球数が200/μL以上のときは3か月以上あけて水痘ワクチンを2回接種してもよいです。HIVに感染している成人で、CD4+T細胞リンパ球数が200/μL未満のときは水痘ワクチンを受けてはいけません。

 

 

4.帯状疱疹ワクチン

一般的事項

・60歳以上の成人は、帯状疱疹の既往の有無に関わらず、帯状疱疹ワクチンを1回接種するべきです。

※日本では「水痘ワクチン」が50歳以上の人に対する帯状疱疹の予防として承認されています。

 

特別な接種対象者

・60歳以上の成人で、慢性疾患をもつひとは接種禁忌事項(妊娠や重症免疫不全など)がない限り、帯状疱疹ワクチンを受けてもよいです。

・原発性または続発性の免疫不全(骨髄やリンパ系に影響を及ぼす悪性疾患や免疫抑制治療、細胞性免疫不全)をもつ成人は、帯状疱疹ワクチンを受けてはいけません。

・ヒト免疫不全ウイルス(HIV)に感染している成人で、CD4+T細胞リンパ球数が200/μL未満のときは帯状疱疹ワクチンを受けてはいけません。

 

5.ヒトパピローマウイルス(HPV)ワクチン

一般的事項

ヒトパピローマウイルス(HPV)ワクチン」をご参照ください。

 

特別な接種対象者

・日本では男性への接種は承認されていませんが、米国では男性に21歳までの接種が推奨されています。

・男性同性間性的接触者(MSM)には26歳までの接種が推奨されています。

・ヒト免疫不全ウイルス(HIV)感染を含む、免疫不全状態の26歳までの成人は、HPVワクチン接種を受けるべきとされています。

・妊娠している女性への接種は推奨されていませんが、ワクチン接種が害を及ぼすエビデンスはありません。もしHPVワクチンの接種開始後に妊娠がわかった場合は、その時点で接種を中断し、妊娠が終了したあとに残りの接種を再開します。

・注意:細胞性免疫や液性免疫を減少させる原発性または続発性の免疫不全状態(例:B細胞欠損症、T細胞欠損症、HIV感染、悪性腫瘍、移植、自己免疫疾患、免疫抑制治療)では、HPVワクチンの3回接種の適応となります。

 

6.肺炎球菌ワクチン

一般的事項

肺炎球菌ワクチン(PPSV23)」および「肺炎球菌ワクチン(PCV13)」をご参照ください。

特別な接種対象者

※日本では肺炎球菌ワクチン(PCV13)の接種適応は生後2か月〜6歳未満または65歳以上となっています。

2つの肺炎球菌ワクチン(PPSV23とPCV13)の接種方法や接種間隔等については、日本呼吸器学会ワクチン検討WG委員会および日本感染症学会ワクチン委員会 合同委員会 65歳以上の成人に対する肺炎球菌ワクチン接種に関する考え方(第2版 2017-10-23).)をご参照ください。

 

・注意:肺炎球菌ワクチンの適応となる免疫不全状態とは、先天性または後天性免疫不全で、B細胞欠損症やT細胞欠損症、複合免疫不全症、慢性肉芽腫症を含む食細胞障害;ヒト免疫不全ウイルス(HIV);慢性腎不全やネフローゼ症候群;白血病、リンパ腫、ホジキン病、一般的な悪性腫瘍、多発性硬化症;臓器移植;長期の全身性ステロイド投与や放射線治療など医療による免疫抑制状態が含まれます。肺炎球菌ワクチンの適応となる解剖学的無脾症または機能的無脾症には、鎌状赤血球症やそのほかの異常ヘモグロビン症、原発性または続発性無脾症、脾機能障害、そして脾臓摘出が含まれます。肺炎球菌ワクチンは、免疫抑制治療や脾臓摘出術の少なくとも2週間以上前に接種されるべきであり、HIV感染と診断された成人ではできるだけすぐに接種されるべきです。

 

7.A型肝炎ワクチン

一般的事項

A型肝炎ワクチン」をご参照ください。

 

特別な接種対象者

・以下の状況にある成人はA型肝炎ワクチン接種を受けるべきです:慢性の肝障害がある人、血液凝固因子製剤の投与をうける人、男性同性間性的接触者(MSM)、薬物使用者(注射針の使用有無は問わない)、A型肝炎に感染した霊長類(サルなど)やA型肝炎の検査や関わる人など

・A型肝炎が中等度〜高度蔓延している国に旅行する成人、国際的な養子縁組においてA型肝炎が中等度〜高度蔓延している国から米国に来て60日間以内の子どもと濃厚な接触(例:一緒に住む、定期的なベビーシッター)がある成人

 

8.B型肝炎ワクチン

一般的事項

B型肝炎ワクチン」をご参照ください。

 

 特別な接種対象者

・性的接触でB型肝炎ウイルスに感染するリスクのある成人(HBs抗原陽性のセックスパートナーがいる人、複数のパートナーをもつ性的活動がある人、性感染症が疑われるまたは治療中の人、男性同性間性的接触者(MSM))はB型肝炎ワクチンを接種するべきです。

・皮ふまたは粘膜に血液が触れることによってB型肝炎ウイルスに感染するリスクがある成人(最近または現在の注射の薬物使用者、HBs抗原陽性の人の家族、発達障害のある人のため施設で暮らす人や施設スタッフ、刑務所に収監されている人、血液や血液を含む体液を扱う医療従事者や衛生関連の従事者、60歳未満の糖尿病患者、60歳以上の糖尿病患者で医師が必要と必要と考えるとき、など)はB型肝炎ワクチンを接種するべきです。

・慢性肝疾患をもつ成人(C型肝炎、肝硬変、アルコール性肝障害、自己免疫性肝炎、ALT値やAST値が正常上限の2倍以上の人、など)はB型肝炎ワクチンを接種するべきです。

・末期腎障害がある成人(人工透析前状態、人工透析患者、腹膜透析患者)はB型肝炎ワクチンを接種するべきです。

・ヒト免疫不全ウイルス(HIV)に感染している成人はB型肝炎ワクチンを接種するべきです。

・妊娠期間中にB型肝炎ウイルスに感染するリスクのある妊婦(例:過去6か月間にセックスパートナーが2人以上いた人、性感染症の疑いまたは治療歴がある人、最近または現在の注射の薬物使用がある人、HBs抗原陽性のセックスパートナーがいる人)はB型肝炎ワクチンを接種するべきです。

・B型肝炎ウイルス感染が中等度-高度まん延している地域に旅行するひとはB型肝炎ワクチンを接種するべきです。

・B型肝炎ウイルスに感染するリスクがありうると考えられる状況(性感染症の治療施設、HIVの検査や治療施設、薬物中毒の治療や予防をおこなう施設、注射薬物使用者を対象とした施設や更生施設、男性同性間性的接触者(MSM)を対象とした施設、人工透析施設、発達障害をもつ人のための施設やデイサービス)にある成人は、B型肝炎ワクチンを接種するべきです。

 

9.髄膜炎菌ワクチン

一般的事項および特別な接種対象者

ワクチンコンテンツ「髄膜炎菌ワクチン」をご参照ください。

 

10.ヒブワクチン

一般的事項

ヒブワクチン」をご参照ください。


特別な接種対象者

・解剖学的または機能的な無脾症の人、鎌状赤血球症、脾臓摘出術予定の人が、いままでにヒブワクチン接種を受けたことがない場合は、ヒブワクチンの1回接種を受けるべきです。脾臓摘出の少なくとも14日前にヒブワクチンを接種すべきです。

・造血幹細胞移植(HSCT)後の成人は、それまでのヒブワクチン接種歴に関わらず、移植後6-12か月後に、4週間以上の間隔をおいて3回のヒブワクチン接種を受けるべきです。

・注意:ヒト免疫不全ウイルス(HIV)に感染した成人は、ヒブ(インフルエンザ菌B型)に感染するリスクが低いことから、彼らに対してヒブワクチン接種を必ずしも勧めるものではありません。

 


参考サイト

米国疾病管理予防センター(CDC).   医療的状況または他の状況での成人のワクチンスケジュール.(英語)