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ワクチンと病気について

特別な状況のワクチン

腎不全、人工透析患者

  • 2021.11.09

「腎不全、人工透析患者」で推奨されるワクチンを紹介します。

ワクチンの接種回数や適応年齢、接種禁忌などの詳細は下記表をご確認ください。

日本で承認されていないワクチン、または適応外のワクチンや接種方法には※をつけています。詳細はこれらのワクチンを扱っている医療施設等にご確認ください。

各ワクチンの注意事項(脚注)は最後に記載しています。

 

接種歴や過去の感染歴がない、または不明の場合に推奨されるワクチン

インフルエンザワクチン

麻しん風しん混合(MR)ワクチン

おたふくかぜワクチン

水痘ワクチン

肺炎球菌ワクチン(PCV13)

肺炎球菌ワクチン(PPSV23)

ヒブワクチン ※(日本での適応は生後2か月-5歳未満)

B型肝炎ワクチン

ヒトパピローマウイルス(HPV)ワクチン

・Td/成人用三種混合(Tdap)

・帯状疱疹ワクチン


併存疾患がある、または適応がある場合に推奨されるワクチン

ヒブワクチン ※(日本での適応は生後2か月-5歳未満)

A型肝炎ワクチン

髄膜炎菌ワクチン(MenACWY)

・髄膜炎菌ワクチン(MenB) ※




腎不全、人工透析患者でのワクチンスケジュール

ワクチン腎不全、人工透析患者
インフルエンザ毎年1回接種
Td/Tdap※Tdapを1回接種し、その後10年毎にTdまたはTdapを1回追加接種
麻しん風しん混合(MR)状況によって1-2回接種
おたふくかぜ状況によって1-2回接種
水痘2回接種
帯状疱疹50歳以上で2回接種
ヒトパピローマウイルス(HPV)26歳まで初回接種の年齢や状況によってに2-3回接種
肺炎球菌(PCV13)1回接種
肺炎球菌(PPSV23)年齢や状況によって1-3回接種
A型肝炎ワクチンの種類によって2-3回
B型肝炎ワクチンの種類や状況によって2-4回接種
髄膜炎菌(MenACWY)状況によって1-2回、追加接種も推奨
髄膜炎菌(MenB)※ワクチンの種類や状況によって2-3回、追加接種も推奨
ヒブ※(日本での適応は生後2か月-5歳未満)1回接種

接種歴や過去の感染歴がない、または不明の場合にワクチン接種を推奨する
併存疾患がある、または適応がある場合にワクチン接種を推奨する
禁忌(接種してはいけない)
推奨なし

 

このページは、主に米国疾病管理予防センター(CDC)の「医療的状況または他の状況での成人のワクチンスケジュール,米国,2021年」を参考にして作成しています。
日本で承認されていない、または適応外のワクチンは※をつけています。詳細はこれらのワクチンを扱っている医療施設等にご確認ください。

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各ワクチンの特別な状況での注意事項(脚注)

 
 

1.インフルエンザワクチン


一般事項および特別な接種対象者

 「インフルエンザワクチン」をご参照ください。

 

2.破傷風、ジフテリア、無細胞百日咳ワクチン

一般事項

DPT」「Tdap」「破傷風トキソイド」をご参照ください。

 

特別な接種対象者

・破傷風、ジフテリア、百日咳の基礎免疫が不足している人

(注:基礎免疫とは、日本では乳幼児期に行われる3-4回のワクチン接種を意味します;DPT,DT,IPV,OPV,DPT-IPVを受けていない人)

<米国での推奨>
少なくとも1回のTdapを接種し、4週間以上の間隔をあけてTdまたはTdap、その後6-12ヶ月以上の間隔をあけてTdまたはTdapを接種する。その後10年毎にTdまたはTdapの接種する。
※日本でも成人に対して認可されている三種混合ワクチン(トリビック®)がありますが、成人に対しての接種回数は1回となっています。上記米国の推奨に準じて複数回使用する場合は、添付文書外使用となることに注意してください。また上述のTdは日本ではDTワクチンに準じますが、10歳以上の人に全量接種すると全身症状が出やすいため、10歳以上では0.1mlに減量しての接種を推奨します。

<米国でのキャッチアップ方法についてのガイダンス>
生後4ヶ月〜6歳のキャッチアップ
https://www.cdc.gov/vaccines/schedules/downloads/child/job-aids/dtap.pdf
7歳〜9歳のキャッチアップ
https://www.cdc.gov/vaccines/schedules/downloads/child/job-aids/tdap-1.pdf
10歳〜18歳のキャッチアップ
https://www.cdc.gov/vaccines/schedules/downloads/child/job-aids/tdap-2.pdf


・米国では妊婦はTdapの接種歴に関わらず、妊娠毎にTdapの1回接種を妊娠27〜36週の早期に受けることが望ましいとされています。
※Tdapは日本では未承認のワクチンのため接種を希望する際は輸入ワクチンの取り扱いのある医療機関で接種します。日本でも成人に対して認可されている三種混合ワクチン(トリビック®)は不活化ワクチンであり、妊婦に対しても理論上接種するのに問題ありませんが、添付文書上では有益性投与(予防接種上の有益性が危険性を上回ると判断され る場合にのみ接種する)との記載があります。なお、妊娠前の接種は問題なく、接種後の避妊もとくに必要ありません。

「妊娠可能女性・妊婦のワクチン」をご参照ください。


3.麻しん風しん混合ワクチン、おたふくかぜワクチン、水痘ワクチン

一般的事項

麻しん風しん混合(MR)ワクチン」および「おたふくかぜワクチン」、「水痘ワクチン」をご参照ください。

 

特別な接種対象者

・麻しん、風しん、おたふくかぜ、水痘に対する免疫が不足している妊婦は、出産後、退院前に医療機関で免疫が不足しているワクチンをそれぞれ1回接種。その後28日以上の間隔をあけてさらにそれぞれ1回接種する(生涯で合計2回)。

・出産可能年齢の女性で、麻しん、風しん、おたふくかぜ、水痘に対する免疫が不足している場合は、免疫が不足しているワクチンをそれぞれ生涯で計2回接種する。

・海外渡航時や、麻しん、風しん、水痘、ムンプスに対する免疫が不足している免疫患者と同居している家族や接触する人および医療従事者は、各ワクチンを生涯で計2回(28日以上の間隔をあけて)接種する。

・ヒト免疫不全ウイルス(HIV)に感染している成人で、麻しん、風しん、おたふくかぜ、水痘の免疫が不足している場合、6か月間以上CD4+T細胞リンパ球数が200/μL以上であれば、麻しん風しん混合(MR)ワクチン、おたふくかぜワクチン(28日間以上の間隔をあけて)および水痘ワクチン(水痘ワクチンは2-3ヶ月以上の間隔をあけて)を生涯で計2回接種する。
ただし、HIVに感染している成人で、CD4+T細胞リンパ球数が200/μL未満のときは麻しん風しん混合(MR)ワクチン、おたふくかぜワクチンおよび水痘ワクチンを受けてはいけません。


4.帯状疱疹ワクチン

一般的事項
・50歳以上の成人は、帯状疱疹の既往の有無に関わらず、帯状疱疹ワクチン2回接種もしくは水痘生ワクチン1回接種が推奨されます。
※日本では帯状疱疹の予防に対して、帯状疱疹ワクチンと水痘生ワクチンの2種類が承認されています。

特別な状況の接種対象者
・原発性または続発性の免疫不全(骨髄やリンパ系に影響を及ぼす悪性疾患や免疫抑制治療、細胞性免疫不全)をもつ成人は、水痘生ワクチンを受けてはいけません。帯状疱疹ワクチンを接種するようにして下さい。

・重度の免疫抑制状態(ヒト免疫不全ウイルス(HIV)に感染している成人で、CD4+T細胞リンパ球数が200/μL未満のときなど)については検討中とされています。

・妊娠中の人は、特別な理由がなければ出産後まで接種を待つようにして下さい。


5.ヒトパピローマウイルス(HPV)ワクチン

一般的事項

ヒトパピローマウイルス(HPV)ワクチン」をご参照ください。

・日本では添付文書での接種対象年齢の上限はありませんが、米国では男女ともに26歳までの接種が推奨されています。

共有意思決定(接種対象者と医療者との話し合いでの意思決定)
・27歳-45歳の成人:医療者との話し合いに基づいて接種します。


特別な接種対象者
・上記の一般的事項および共有意思決定は、特別な状況の接種対象者にも適応されます。

・ヒト免疫不全ウイルス(HIV)感染を含む、免疫不全状態の成人は、初回接種の年齢に関わらず3回の接種をします。

・妊娠している女性への接種は推奨されていませんが、ワクチン接種が妊婦や妊娠に害を及ぼすエビデンスはありません。もしHPVワクチンの接種開始後に妊娠がわかった場合は、その時点で接種を中断し、妊娠が終了したあとに残りの接種を再開します。

 

6.肺炎球菌ワクチン

一般的事項

・65歳以上のひと:定期接種として1回の肺炎球菌ワクチン(PPSV23, ニューモバックス®)接種が推奨されます。

そのほかの一般的事項は「肺炎球菌ワクチン(PPSV23)」および「肺炎球菌ワクチン(PCV13)」をご参照ください。

共有意思決定(接種対象者と医療者との話し合いでの意思決定)
・65歳以上のひと(免疫不全がない場合):PCV13とPPSV23との連続接種については接種対象者と医療者との話し合いで決定します。

特別な接種対象者
・基礎疾患がある6歳〜64歳のひと
基礎疾患(先天性心疾患、慢性心疾患、慢性肺疾患、慢性腎疾患、慢性肝疾患、糖尿病、自己免疫性疾患、神経疾患、血液・ 腫瘍性疾患、染色体異常、早産低出生体重児、無脾症・脾低形成、脾摘後、臓器移植後、髄液漏、 人工内耳、原発性免疫不全症、造血幹細胞移植後など)があるひとには、ご本人・保護者と医師との話し合い(共有意思決定)に基づいて肺炎球菌ワクチン(PCV13、プレベナー13®)の接種を推奨します。

詳しくは「6歳から64歳までのハイリスク者に対する肺炎球菌ワクチン接種の考え方」(2021年3月17日). 日本呼吸器学会呼吸器ワクチン検討委員会/日本感染症学会ワクチン委員会/日本ワクチン学会・合同委員会. もご参照ください。

・基礎疾患がある65歳以上のひと、高齢者施設に入所されているひと
基礎疾患(慢性的な心疾患、肺疾患、肝疾患、糖尿病、アルコール依存症、喫煙者など)がある65歳以上のひとでは、ご本人と医師との話し合い(共有意思決定)に基づいてワクチン接種をすることを推奨します。とくに、髄液漏、人工内耳、免疫不全(HIV、無脾症、骨髄腫、固形臓器移植など)の患者さんには接種を推奨します。高齢者施設に入所されているひとも、ご本人と医師との話し合いをもとに接種することを推奨します。

2つの肺炎球菌ワクチン(PPSV23とPCV13)の接種方法や接種間隔等について詳しくは、65 歳以上の成人に対する肺炎球菌ワクチン接種に関する考え方(第 3 版 2019-10-30). 日本呼吸器学会呼吸器ワクチン検討WG委員会/日本感染症学会ワクチン委員会・合同委員会. もご参照ください。


7.A型肝炎ワクチン

一般的事項
A型肝炎ワクチン」をご参照ください。

特別な接種対象者
以下の状況にある成人はA型肝炎ワクチン接種を推奨します:

・慢性の肝障害がある人(B型肝炎、C型肝炎、肝硬変、脂肪肝、アルコール性肝疾患、自己免疫性肝炎、トランスアミナーゼが正常上限の2倍以上)、HIV感染症のひと、男性同性間性的接触者(MSM)、薬物使用者(注射針の使用有無は問わない)、A型肝炎に感染した霊長類(サルなど)やA型肝炎の検査に関わるひとなど

・A型肝炎が中等度〜高度まん延している国に旅行するひと、国際的な養子縁組においてA型肝炎が中等度〜高度まん延している国から米国に来て60日間以内の子どもと濃厚な接触(例:一緒に住む、定期的なベビーシッター)があるひと、そのほかA型肝炎ウイルスに暴露される状況にあるひと


8.B型肝炎ワクチン

一般的事項
B型肝炎ワクチン」をご参照ください。

特別な接種対象者
以下の状況にある成人はA型肝炎ワクチン接種を推奨します:

・慢性の肝障害があるひと(B型肝炎、C型肝炎、肝硬変、脂肪肝、アルコール性肝疾患、自己免疫性肝炎、トランスアミナーゼが正常上限の2倍以上)、HIV感染症のひと、性的接触でB型肝炎ウイルスに感染するリスクのあるひと(HBs抗原陽性のセックスパートナーがいるひと、複数のパートナーをもつ性的活動があるひと、性感染症が疑われるまたは治療中のひと、男性同性間性的接触者(MSM))、刑務所に収監されているひと

・皮ふまたは粘膜に血液が触れることによってB型肝炎ウイルスに感染するリスクがある成人(最近または現在の注射の薬物使用者、HBs抗原陽性の人の家族、発達障害のある人のため施設で暮らす人や施設スタッフ、血液や血液を含む体液に暴露される可能性のある医療従事者や衛生関連の従事者、血液透析・腹膜透析中もしくは透析前状態、60歳未満の糖尿病患者、60歳以上の糖尿病患者で医師が必要と必要と考えるとき、など)

・B型肝炎ウイルス感染が中等度-高度まん延している地域に旅行するひと

・妊娠中のB型肝炎ウイルス感染または感染による重篤な転帰のリスクのある妊婦(例:過去6か月間にセックスパートナーが2人以上いた人、性感染症の疑いまたは治療歴がある人、最近または現在の注射の薬物使用がある人、HBs抗原陽性のセックスパートナーがいる人)

9.髄膜炎菌ワクチン
一般的事項
ワクチンコンテンツ「髄膜炎菌ワクチン」をご参照ください。

特別な状況の接種対象者(MenACWY、メナクトラ®)
・解剖学的/機能的無脾症(鎌状赤血球症を含む)、HIV感染、持続性補体欠損症、補体阻害薬(例:エクリズマブ、ラブリズマブ)使用者:8週以上あけて2回接種し、リスクが続いている場合は5年毎に再接種をおこないます。※

・髄膜炎菌感染症の流行地への旅行者や日常的に髄膜炎菌を取り扱う微生物学者:1回接種し、リスクが続いている場合は5年毎に再接種をおこないます。※

・寮生活など集団生活を送るひと、送る予定のひと(16歳以上の未接種者):1回接種します。

・「特別な状況」や髄膜炎菌感染症が流行する状況(地域や施設での流行や男性同性間性的接触者:MSM)にあるひとには追加接種を推奨します。

共有意思決定(接種対象者と医療者との話し合いでの意思決定)(MenB※)
・青年期や若年成人:16歳-23歳(16-18歳が望ましい)で髄膜炎菌感染症のリスクが高くないひと:接種対象者と医療者との話し合いに基づき、1か月以上あけて2回のMenB-4C(Bexsero®)※接種または、0、6か月の2回のMenB-FHbp(Trumenba®)※接種をおこなう。なおMenB-4CとMenB-FHbpの互換性はない。

特別な状況の接種対象者(MenB※)
・解剖学的/機能的無脾症(鎌状赤血球症を含む)、HIV感染、持続性補体成分欠損症、補体阻害薬(例:エクリズマブ、ラブリズマブ)使用者、日常的に髄膜炎菌を取り扱う微生物学者:1か月以上あけて2回のMenB-4C(Bexsero®)※接種または、0、1-2、6か月の3回のMenB-FHbp(Trumenba®)※接種をおこない、1年後に追加接種を1回おこない、リスクが続いている場合は以後2-3年毎に接種します。なおMenB-4CとMenB-FHbpの互換性はない。

・妊娠:妊娠が終了するまでMenBの接種を延期します。ただし、髄膜炎菌感染のリスクが高い状況では、接種する利益が接種しないリスクを上回る場合に接種します。

・「特別な状況」や髄膜炎菌感染症が流行する状況(地域や施設での流行や男性同性間性的接触者:MSM)にあるひとには追加接種を推奨します。


10.ヒブワクチン

一般的事項
ヒブワクチン」をご参照ください。

特別な接種対象者
・解剖学的/機能的無脾症、鎌状赤血球症、脾臓摘出術予定のひとが、いままでにヒブワクチン接種を受けたことがない場合は、ヒブワクチンの1回接種を推奨します※。脾臓摘出の少なくとも14日前にヒブワクチンを接種すべきです※。

・造血幹細胞移植(HSCT)後の成人は、それまでのヒブワクチン接種歴に関わらず、移植後6-12か月後に、4週間以上の間隔をおいて3回のヒブワクチン接種を推奨します※。


参考サイト
医療的状況または他の状況で推奨される成人のワクチンスケジュール, 米国, 2021年. 米国疾病管理予防センター(CDC).