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ワクチンと病気について

年齢で見る・不足している可能性のあるワクチン

【風しん流行】風しんワクチンを2回接種していますか

  • 2018.08.30

2018年8月以降、東京都および千葉県で風しんの発生報告件数が急増しています。そして国立感染症研究所は「既に、国内流行が発生し始めている可能性が高いと考えられる」と警告しています。


風しんは、ウイルスが原因の病気で、くしゃみや咳、接触によって感染します。症状は「熱」などの風邪のような症状、「全身の淡い赤色の皮疹」「目の充血」「首のリンパ節の腫れ」などがあります。でも、症状のない「不顕性感染」が15~30%もあり、自分が感染していることに気がつかない人もいます。


風しんは「妊婦」が感染すると、おなかの中の赤ちゃんにも感染し心臓の病気、難聴、白内障などの障害をもって生まれてくることがあります。これを「先天性風疹症候群(CRS)」と言います。

これまでも風しんは、4~5年おきに流行を繰り返してきました。2012~13年の流行では全国で16,730人が風しんに感染し、45名の先天性風疹症候群のお子さんが生まれました。上述のとおり、風しんは感染した人が感染していることに気が付かないことがありますので、自分が風しんに感染したと知らずに出産し、赤ちゃんがCRSになっていたという妊婦さんもいました。

つまり、「風しんが流行すると、誰が感染しているかわからない」ことがあるため、風しんの流行は、妊婦にとって脅威になります。

妊婦は風しんワクチンが打てませんので、妊婦が感染しないようにするためには、女性が妊娠前にワクチンを2回接種することと、妊婦の周りの人がワクチンを2回接種して妊婦が感染しないようにすることが大事です。


流行が起こる理由は、風しんへの免疫をもたない人が未だに多いからです。
風しんはワクチンを2回接種していれば、感染することはほとんどありませんので、最も効果的な対策は、風しんに対する抵抗力がない方へのワクチン接種です。

この表は、風しんワクチンの定期接種の表です。

生年月日によって、過去の風しんワクチンの定期接種の回数が異なっています。


生年月日

男性

女性

1962(昭和37)年4月1日以前

なし

なし

1962(昭和37)年4月2日~1979(昭和54)年4月1日

なし

中学生学校で集団接種1回

1979(昭和54)年4月2日~1987(昭和62)年10月1日

中学生で1回接種

中学生で1回接種

1987(昭和62)年10月2日~1990(平成2)年4月1日幼児期に1回接種

幼児期に1回接種

1990(平成2)年4月2日以降2回接種2回接種

 定期接種では、「1979(昭和54)年4月1日までに生まれた男性(39歳以上)」「1962(昭和37)年4月1日までに生まれた女性(56歳以上)」は、ワクチンの接種を受けていません。

「1990(平成2)年4月1日までに生まれた男女(28歳以上)」は、ワクチンの接種を1回しか受けていません。

定期接種として2回接種していない世代の方は、合計2回以上のワクチン接種を行うことが必要です。また、定期接種があっても、ワクチンを打っていない人もいます。


皆さん、ご自身の母子手帳を開いてみてください。
もし風しんのワクチン接種が2回に達していなければ、あなたは風しんにかかる可能性があるし、そして誰かの赤ちゃんを知らずにCRSにする可能性があります。
もしあなたのワクチン接種回数が不足していたら、ワクチンを打ちましょう。

母子手帳で確認ができなかったら、ワクチンを打っておらず感染する可能性がありますので、ワクチンを打ちましょう。


特に30~50歳の男性は、これまでに風しんワクチンを打ったことがない可能性が高い世代ですし、妻が妊娠する可能性がある年代です。2013年に流行した時の感染経路は、風しんに感染した男性の68.5%、女性35.2%が職場で感染しました。職場で集団感染する可能性がありますので、職場での集団接種もお勧めします。

2015年に「医療機関外の場所で行う健康診断の取扱いについて」が改正され、届出があれば医療機関以外でもワクチン接種が可能になりました。経営者、産業医の方には、働き盛りで風しんワクチンの接種のために病院を受診できない従業員のために、職場でのワクチン接種の機会を作ってください。


国は、2020年までに風しんを排除することを目標にしています。

流行時にみんなが慌てて接種するとワクチンの品薄が起こりますので、平時に粛々と接種を進め、国内にワクチンを2回接種した人が増えることが、次の流行を防ぐ唯一の方法です。


みなさんの周囲で、全身の皮膚に淡く赤い斑点が出ている方はいませんか?

もしいたら、お近くの医療機関または保健所に電話で相談してから受診するよう勧めてください。(連絡なく病院に行くと、周囲の患者さんに伝染してしまう恐れがあります。)


●過去に風しんワクチンを2回接種したことのない人は、ワクチンを打ちましょう
 特に、30~50歳代の男性は風しんへの抵抗力が弱い人が多いのでワクチンを打ちましょう

●明らかに風しんにかかったことがない方、または抗体が低い方で、妊娠する可能性のある女性 とその周囲の方々は、積極的にワクチンを接種しましょう

 妊娠の可能性がある方、妊婦は風しんワクチン接種ができません

●職場や通勤時に感染しやすいため、職場での集団感染予防目的のために職場での接種の機会を作ってください


今回の流行が早く終息し、2020年までに風しんが日本から排除できますように。

私たち一人一人が風しんのワクチンを接種して予防することが大事です。


注)風しんワクチンは

   「麻しん風しん混合ワクチン(MR)」、「風しんワクチン」です。



参考
1.おとなとこどものワクチンサイト から
風しんについて または 麻しん風しんワクチン 

2.NHK「ストップ風しん」 
2013年に風しんが流行した際、NHKが立ち上げたウェブサイト
今回の流行にあわせて、リニューアル公開されました
風しんに関する情報が網羅され、NHKで放映された動画も視聴できます

3.風しんをなくそうの会「hand in hand」
妊娠中に風しんにかかって出産した母親と先天性風疹症候群の当事者グループのサイト