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帯状疱疹について

  • 2023.05.07
  • 任意接種
  • 成人
  • 高齢者

帯状疱疹とは

 帯状疱疹(たいじょうほうしん)は、過去に水ぼうそうにかかったひとの体の中にひそんでいたウイルス(水痘・帯状疱疹ウイルス)によって起こります。水ぼうそうが治っても脊髄にウイルスが潜伏していて、体の抵抗力が下がったときに再びウイルスが活性化して帯状疱疹を起こします。水ぼうそうにかかったことのある人のうち、約10〜30%が生涯に一度は帯状疱疹を発症すると言われています1)。とくに、抵抗力の低下した人や高齢者がかかりやすく、宮崎県における大規模疫学調査2)では、50歳以上で発症率が上昇し、80歳までに3人に1人が帯状疱疹を経験すると推定されています。


感染経路 

接触感染・空気感染 

感染期間

皮疹が痂皮化するまで 

 

主な症状は
 顔や身体に痛みのある赤い斑点と小さな水ぶくれができるのが特徴です。チクチクとした不快な痛みではじまり、徐々に水疱(すいほう、水ぶくれ)のある発疹が出てきます。発疹は、多くの場合、左右どちらかだけに、神経に沿って帯状に症状が出ることが一般的です。発疹は7-15日前後で痂皮(かさぶた)になり徐々に治っていきます。
なお、免疫が低下している場合などでは、全身に発疹が広がることもあります(汎発性帯状疱疹)。


主な後遺症「帯状疱疹後神経痛」
 発疹がなくなった後も不快な痛みが長く続くことがあり、これを帯状疱疹後神経痛と言います。日本の調査においては、帯状疱疹にかかった患者のうち19.7%が帯状疱疹後神経痛を発症していました3)。特に、60歳以上の高齢者、帯状疱疹の皮膚症状が症状が重い場合、帯状疱疹による痛みが激しい場合は、後遺症として帯状疱疹後神経痛に移行する可能性が高いと言われています。後遺症を起こさないようにするためにも、早期の診断治療が大切です。

 

診断方法は
 症状・臨床経過と皮膚の状態から、医師が診断します。

帯状疱疹を検査で診断することが、臨床的に必要になることはほとんどありません。

検査には、発疹の水疱(水ぶくれ)で行うTzank試験(ツァンク試験)、デルマクイック®VZVなどがあります。

帯状疱疹を繰り返す場合には、HIV感染症や糖尿病など、免疫が下がる病気をもっていないかを検査することもあります。

 

治療法は
 抗ウイルス薬(アシクロビル、バラシクロビルなど)と、痛み止めの薬をのみます。発疹が出てからできるだけ早く(できれば、3日以内、遅くとも5日以内)、抗ウイルス薬を飲むことで、帯状疱疹後神経痛の症状が軽減できます。

症状によっては、抗ウイルス薬を注射するために入院が必要になることもあります。痛みや不快感を我慢せず、痛み止めを内服することが大切です。

 

予防法は
 水痘ワクチン(生ワクチン)、または帯状疱疹ワクチン(不活化ワクチン)が有効です。また体の抵抗力を落とさないために、十分な睡眠や規則正しい生活が大切です。

 

水痘ワクチンについてはこちらを参照。

帯状疱疹ワクチンについてはこちらを参照。

 

参考文献・サイト

 

1)帯状疱疹ワクチンファクトシート 平成29(2017)年2月10日. 国立感染症研究所. 

2)外山望. 宮崎県の帯状疱疹の疫学(宮崎スタディ). IASR. 2013 Oct;34:298–300. 

3)Takao Y. Incidences of Herpes Zoster and Postherpetic Neuralgia in Japanese Adults Aged 50 Years and Older From a Community-based Prospective Cohort Study: The SHEZ Study. J Epidemiol. 2015 Sep;25(10):617–625.