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ワクチンと病気について

病気(VPD)について

新型コロナウイルス感染症 COVID-19 について

  • 2021.11.13
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  • 医療従事者

新型コロナウイルス感染症とは              

新型コロナウイルス感染症は、新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)が原因で起こる感染症です。
はじめは咽頭痛、発熱、咳嗽などインフルエンザや感冒に似た症状から始まります。悪化すると肺炎を起こし、人工呼吸器などが必要になることもあります。感染者のすべてが発症するわけではなく、感染していても症状が無い人もいます。

 

感染経路

飛沫感染、接触感染
※飛沫感染よりも小さな粒子が長時間室内を漂うことで感染が拡がる「マイクロ飛沫感染」も起きると考えられています。空気感染と同じとする考え方もあります。

潜伏期間

1-14日
※当初のウイルス(従来株)の潜伏期間は平均して5日前後でしたが、日本の第5波(2021年7-9月)の中心となったデルタ変異株の潜伏期間は平均3日前後と短くなりました。

周囲へ感染させうる期間

発症2日前~7日目(重症者では20日目まで)

1人の患者から感染する平均人数(基本再生産数 R0)

従来株 1.2 - 2.5
デルタ変異株 5.0-8.0

感染症法

「新型インフルエンザ等感染症」に分類(令和3年2月法改正により指定)

ただちに報告

 

入院勧告、就業制限が、以下まで続く

①発症日から10日間経過し、かつ、症状軽快後72時間経過

②症状改善24時間以上経過した後、PCRまたは抗原定量検査で2回陰性

 


主な症状(症状・経過・合併症/重症化した場合)

発症初期は、感冒やインフルエンザに似ています。咽頭痛、咳嗽などの呼吸器症状、発熱の他、倦怠感、関節痛、下痢、結膜炎などがみられます。呼吸苦、味覚嗅覚障害、食欲不振などが出ることもあります。自然に改善することもありますが、症状が続くと発症から7-10日目に肺炎を起こしやすい時期がきて、呼吸苦が起こります。
さらに重症化し呼吸不全が進むと、人工呼吸器やECMO(体外式膜型人工肺)などを要し、致死的になることがあります。

主な合併症としては、呼吸不全(ARDS)、血栓塞栓症(肺塞栓など)、心血管障害(不整脈、急性心障害など)、炎症性合併症(川崎病に類似した多系統炎症症候群など)などがあります。


診断方法

接触歴、症状や身体所見PCR検査や抗原検査胸部レントゲンやCTなどを組み合わせて診断します。

 

病原体診断検査の方法
1 核酸検出検査 PCR 法、LAMP 法など
2 抗原定量検査
3 抗原定性検査

最も精度の高いPCR検査の所用時間は数時間で、一部の医療施設や検査機関、また行政機関で行うことができます。運搬時間などがかかるので、実際に結果がでるまでの所要時間は1日~数日です。検査の正確性を示す「感度」の値は約70-80%です。この場合、結果が陰性となった患者さんの20-30%は実際には陽性である(間違って陰性と判定された)ことを意味します。そのため、PCR検査が陰性であっても本当は感染している可能性を考慮することが重要です。

抗原定量検査は一部の医療機関・検査機関で行われていますが、さほど普及していません。

もっとも簡便な検査は、抗原定性検査です。高度な検査機械がない診療所でも容易に行うことができます。所用時間は10-30分で、発症から9日目以内の時期に行うことができます。ただし感度・特異度ともにPCRよりも低いため、正確性に劣ります。結果が陰性でも、症状等から新型コロナの疑いが残ると医師が判断した場合はPCR検査を行うことが推奨されています。

 


治療方法

様々な治療法が検証された結果、現在では発症早期および重症時のそれぞれに有効な治療法が確立されました。

■発症早期

発症早期には、新型コロナウイルスに特異的な抗体(モノクローナル抗体)を点滴で投与することで、軽症の状態から早期に症状を快復させ中等症や重症に進行することを食い止めることができます。2種類の違う形の抗体を混ぜて投与すると特に効果があり、「抗体カクテル療法」と呼ばれることもあります。2021年11月現在では、軽症患者のうち糖尿病や高度肥満などの基礎疾患を持つ人限定で使用が認められています。

症状が進行し酸素が必要になるなど重症になった場合は、副腎皮質ホルモン(ステロイド剤)が有効です。特にデキサメサゾンという副腎皮質ホルモン剤の効果が確立されており、適切に使用することで死亡率を下げることができます。

その他、ウイルスを減少させる薬としてレムデシビル(ベルクリー®)、ファビピラビル(アビガン®)、トシリズマブ(アクテムラ®)などがありますが、臨床的な評価は定まっていません。

また、効果が期待されたイベルメクチンは、残念ながら2021年11月現在では信頼できる研究では効果は実証されていません。

 


予後

感染した人のうち亡くなる割合(致死率)は1.8%です。50 歳 を超えると加齢とともに致死率が上昇し、50 代では 0.5%ですが、60 代で 2.3%、70 代で 7.2%、80 歳以上では 17.5%と上昇します。糖尿病などの基礎疾患がある場合も致死率は悪化します。また、デルタ変異株ではさらに致死率が悪化しています。


予防方法

接触・飛沫感染を予防するために、①手洗い(アルコールによる手指消毒も有効)②マスク ③3つの密をさけることが重要です。また、ワクチンの予防効果は約95%と報告されています。ワクチンについては「新型コロナワクチン」のページを参照してください。

とくに、高齢者は重症化しやすいので、ウイルスを家庭内に持ち込まず、家庭内で広げない工夫が重要です。

 


①手洗い・手指消毒

ウイルスは水で洗い流すことができます。外で物を触った後や帰宅後に手洗いをしましょう。石けんと流水による手洗いを行うことが最も重要です。

手洗いの代わりにアルコール消毒液(濃度70%~95%のエタノール)の消毒も効果があります。

 

②マスク

マスクは素材や、人と人の距離感等によって効果がことなります。

マスクの素材:

一般的なマスクでは、サージカルマスクが最も高い効果があります。次に布マスク、その次にウレタンマスクの順に効果があります。

自分の顔にぴったりとフィットしているマスクを選ぶことが重要です。

特に、室内で会話する場合は、マスクを正しく着用しましょう。

また、屋外でも感染防止に必要な「最低1メートル」の間隔を確保できない場合はマスクをつけましょう。

自分から相手への感染拡大を防ぐために、話す時はいつでもマスクを着用しましょう。

 

③3つの密を避ける

「密閉」:

常に換気、または1時間に2回以上の換気をしましょう。換気は風の流れができるように2方向以上の窓を開けましょう。

「密集」:

人との距離をとりましょう。お互いに手を伸ばしても届かない十分な距離(2メートル以上)をとりましょう。

「密接」:

密接した状態での会話や発声を避けましょう。対面での会話が避けられないときには、十分な距離を保ち、マスクを着用しましょう。

 



参考サイト

厚生労働省:新型コロナウイルス感染症について


日本プライマリ・ケア連合学会 COVID-19 特設サイト