ワクチンと病気について
三種混合(DPT)ワクチン
- 2023.05.07
三種混合(DPT)ワクチンについて
商品名:トリビック®
予防できる病気 | |
ワクチンの種類 | 不活化ワクチン |
定期/任意 | 任意接種(生後2か月〜) |
接種回数 | 4回(第1期の初回3回と追加1回) 乳幼児期4回接種の後:就学前または11-12歳、成人に1回ずつ |
接種量 | 0.5ml |
接種間隔 | ①②③の間は3-8週間、③④の間は6か月以上(12-18か月)あける |
費用 | 1回約5000円 (施設により異なる) |
ワクチンの効果
三種混合(DPT)ワクチンはジフテリア、百日咳、そして破傷風の発症を予防します。
この3つに加えてポリオも同時に予防する四種混合(DPT-IPV)ワクチンは、現在定期接種となっています。追加接種まで全て接種すれば、いずれの種類のワクチンを用いても抗体獲得率(免疫を持つことに成功する確率)は100%とされています。ただし、最後に接種してから百日咳に対する予防効果は4年から10年程度で減弱するため、百日咳に対する免疫を維持するためには就学前や10代での三種混合ワクチンの追加接種をお勧めします。
どんな人にお勧め?
2018年および2019年の感染者報告によると、百日咳に感染した人のうち6割以上が小中学生のこどもたちでした 2)3)。また、感染者のうち約8割の人が小児期に4回の三種または四種混合ワクチンを接種していました。つまり、定期接種で三種または四種混合ワクチンを接種しても数年で免疫が低下するため3)、小学校に上がる前(5-6歳)での追加接種、もしくは、定期接種の2種混合(DT)ワクチンの代わりにこの三種混合(DPT)ワクチンを接種をお勧めします 4)。いずれも任意接種(前者は添付文書の適応外使用)のため接種希望の場合は取り扱いのある医療機関にご相談下さい。
それ以外の小児や成人でも百日咳を予防したい方、特に妊婦(妊娠希望女性)は生まれてくる子ども(乳児は百日咳に罹患すると呼吸不全などで致死的となりうるため)の感染予防のために接種をお勧めします 5)。
接種スケジュール作成のポイント
定期接種では四種混合(DPT-IPV)ワクチンを接種します。
任意接種では、就学前(5-6歳;年長児)のお子さんは定期接種のMR(麻しん風しん)ワクチン2期と同時接種を、11-12歳のお子さんには定期接種の2種混合(DT)ワクチンの代わりにDPTワクチンの接種をお勧めします。
その他の年代の方でも、希望があれば接種が可能です(下記禁忌事項に当てはまらない方)ので、医療期間にご相談ください。
ワクチンの副反応
ワクチン接種による一般的な副反応以外に、三種混合(DPT)ワクチンに特異的な副反応報告はありません。
ワクチンの禁忌
三種混合(DPT)ワクチンによる強いアレルギー症状(アナフィラキシーなど)を起こしたことがある場合以外に禁忌はありません。
※2014年に定期接種がDPT-IPVワクチンに切り替わったためDPTワクチンは一旦製造販売中止となっていましたが、2018年1月に販売再開となりました。
参考文献・サイト
2) 国立感染症研究所疫学センター. 全数報告サーベイランスによる国内の百日咳患者の疫学(更新情報)〜2018年疫学第1週〜第52週〜 国立感染症研究所.
3)国立感染症研究所疫学センター. 全数報告サーベイランスによる国内の百日咳患者の疫学(更新情報)〜2019年疫学第1週〜第52週〜 国立感染症研究所.
4)年齢/年齢群別の百日咳抗体保有状況 2018年. 2018年度感染症流行予測調査より.国立感染症研究所.