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ワクチンと病気について

ワクチン情報

新型コロナワクチン

  • 2021.11.13
  • 不活化ワクチン
  • 成人
  • 高齢者
  • 渡航者
  • 医療従事者

                                    
国内・海外において、複数のワクチンの開発が行われています。
現時点の情報を元にまとめました。この内容は、今後の新しい知見によって情報の更新があった場合に内容を更新いたします。
 

 予防できる病気

 新型コロナウイルス感染症

 

ワクチンの種類
 

 

ファイザー社
「コミナティ筋注」

モデルナ社/武田製薬
「COVID−19ワクチンモデルナ筋注」

アストラゼネカ社
「バキスゼブリア筋注」

ワクチンの種類

mRNAワクチン

mRNAワクチン

ウイルスベクターワクチン

接種回数(接種間隔)

2回(21日間隔)

2回(28日間隔)

2回(28日間隔)
※高い効果を得るためには8週間以上空ける

保管温度

-75℃±15℃

最長14日間まで-20℃±5℃で可能

-20℃±5℃

2~8℃

開封後の保管条件

室温に溶解後生理食塩液で希釈,希釈後室温で6時間

室温(2~25℃)で6時間

解凍後の再凍結は不可

希釈不要

室温で6時間

2~8℃で48時間

希釈不要

医療機関での保管

・超低温冷凍庫

・ドライアイスで10日以内

冷凍庫(-20℃±5℃)

冷蔵庫

1バイアルの単位

5~6回分/バイアル

10回分/バイアル

10回分/バイアル

  

接種部位

上腕の三角筋(腕の上側)に筋肉内注射

接種量

 

費用

無料(全額公費負担)

接種場所

原則として、住民票所在地の市町村(住所地)の医療機関や接種会場



ワクチンの効果

2回接種した場合、新型コロナウイルス感染症が発症する(熱や肺炎になってPCR検査が陽性になる)リスクを 95.0%(ファイザー社)、94.1%(モデルナ社)、70.4%(アストラゼネカ社)減らすことが報告されています。 また,重症や無症状感染も80-90%以上予防できると報告されています。


どんな人におすすめ?

ファイザー社およびモデルナ社は12歳以上の,アストラゼネカ社は40歳以上のすべての人(ただし,ファイザー社およびモデルナ社が医学的理由で接種できない場合は18歳以上であればアストラゼネカ社を接種可)

特に、新型コロナウイルス感染症の発症による社会への影響が特に大きい職種の人々と、発症すると重症化や死亡のリスクが特に高い人々は、接種を強く勧めます。

2021年10月末現在でどれかのワクチンを2回接種した人々は総人口の70%を超え,その後も増加し続けています.(参照:首相官邸サイト

 


接種スケジュールのポイント

ワクチンごとに決められた間隔で2回接種します。

異なる種類のワクチンを組み合わせて接種した場合の効果や副反応は不明なため、1回目と2回目は必ず同じ種類のワクチンを接種します。

 

また、新型コロナウイルスに感染したことがあっても接種できます。臨床試験で安全性が確認されており,しかも接種する前に感染した場合でも感染後に接種することで2回目の感染を予防できます。ただし、接種は退院基準を満たしてから以降の時期になります。1回目を接種したのちに新型コロナウイルスに感染した場合においても上記の推奨は変わりません。

 

接種後の経過観察

重いアレルギー反応(アナフィラキシー)が出ないかを確かめるために、接種後15-30分間は医療機関または接種会場に留まって経過観察することが大切です。接種担当者の指示に従ってください。

接種後は体調に変化がないか安静にしてお待ちください。

 

ワクチンの副反応

下記の副反応が出ることがわかっています。

局所症状:接種部位の痛み、腫れ、発赤、接種した側の脇の下のリンパ節の腫れ

全身症状:発熱、倦怠感、頭痛、寒気、筋肉痛、関節痛

 

大半の人がどれか1つ以上の副反応が出ますが、免疫を付けるために体が一所懸命反応する結果として現れる症状なので、心配ありません。症状は殆どの場合接種後3日以内に起こり、1〜3日で自然に消えてなくなります。後遺症は残りません。1回目より2回目の方が出やすく、年齢が若いほど出やすいため、接種の翌日などはなるべく体を休めるよう工夫する方がいいでしょう。

接種直後に出現する重いアレルギー反応(アナフィラキシー)は20万人に1人程度と報告されています。極めてまれですが、接種直後は指示に従ってその場で15-30分経過観察し、万が一体調に変化があればすぐに申し出てください。アナフィラキシーはその場で適切に治療すれば殆どの場合で速やかに快復します。


ワクチンの有害事象

ワクチンが原因で起きるとはっきり分かっている症状を「副反応」,ワクチンが原因かどうかまだわからないが関係がありそうな症状を「有害事象」と呼び分けています.

 

ファイザー社またはモデルナ社を10-20代の若い男性が接種すると,他の年代の男性や全年代の女性に比べて,心筋炎や心外膜炎に少しなりやすいことがわかっています.心筋炎とは心臓の筋肉に炎症が起きる(筋肉が腫れるなどして一時的に心臓の動きが悪くなる)病気,心外膜炎とは心臓のすぐ外側にある薄い膜に炎症が起きる(膜が腫れるなどして心臓に痛みが出る)病気です.厚生労働省の資料(PDF 33ページ目)によると,日本の10-20代の男性100万人がファイザー社を接種するとそのうち約4-10人,モデルナ社を接種するとそのうち約26-29人程度で心筋炎または心外膜炎が起きています.一方で,他の年代の男性やすべての年代の女性で100万人中1-2人程度しか起きていません.頻度からは若い男性特有と考えられますが,どういう原因で若い男性に集中するのかはわかっていません.コロナワクチンが登場する前から100万人に1-2人程度に心筋炎・心外膜炎は起きていたので,10-20代の男性以外ではワクチンと心筋炎・心外膜炎に関係はなさそうと考えられます.また,数字の上ではファイザー社よりもモデルナ社の方が起きやすいため,厚生労働省は10-20代男性に「ファイザー社を選択できる」と2021年10月15日付けで周知しています.なお,接種後に心筋炎・心外膜炎になった若い男性はすべて快復しています.

 

アストラゼネカ社の接種後に重い血栓症が起きることがわかっています.100万人中20人程度のごく低い頻度ですが,脳の静脈に大きな血栓(血のかたまり)ができて,血液の中の血小板が極端に少なくなります.血栓ができる場所は脳の静脈であり動脈ではないので,いわゆる脳梗塞とは違います.日本ではアストラゼネカ社の接種がまだ少ないため重い血栓症の報告はありませんが,海外では残念ながら死亡例も出ています.海外の報告では比較的若い人に出やすい傾向があるため,日本ではアストラゼネカ社は40歳以上の希望者に主として接種しています.どういう原因で血栓症が起きるのかを調べる研究が海外で進んでいます.

 

<接種を受けた後に副反応が起きた場合の健康被害救済制度>

一般的に、ワクチン接種では極めてまれだが避けられない重い副反応による健康被害(重い病気になったり障害が残ったりすること)があり得ることから、健康被害救済制度が設けられています。

健康被害救済制度では、予防接種によって健康被害が生じ、医療機関での治療が必要になったり障害が残ったりした場合に、予防接種法に基づく救済(医療費・障害年金等の給付)が受けられます。

 

ワクチンの禁忌

ポリエチレングリコール(PEG)またはポリソルベートを含む薬剤やその他新型コロナワクチンと共通する添加剤に重いアレルギー反応(アナフィラキシー)があった人と、1回目の新型コロナウイルスワクチン接種で重いアレルギー反応(アナフィラキシー)があった人は、接種することができません。

その他のワクチンや新型コロナワクチンと無関係な薬剤等に重いアレルギー反応(アナフィラキシー)があった人は、かかりつけ医およびワクチン接種担当医に十分相談した上で接種を決めてください。

 


参考サイト

1.厚生労働省 新型コロナウイルス感染症のワクチンについて

2.厚生労働省 新型コロナウイルスワクチンの副反応の収集・評価について