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ワクチンと病気について

ワクチン情報

ヒトパピローマウイルス(HPV)ワクチン

  • 2021.02.24
  • 定期接種
  • 不活化ワクチン
  • 小児
  • 無脾・脾摘
  • 腎不全・透析
  • 糖尿病
  • 癌予防・がん予防
  • STD

ヒトパピローマウイルス(HPV)ワクチンについて

商品名:
 サーバリックス®(2価ワクチン)
 ガーダシル®(4価ワクチン)
 シルガード®9(9価ワクチン)

予防できる病気

ヒトパピローマウイルス(HPV)感染症

ワクチンの種類

不活化ワクチン

定期/任意

定期接種※(中学1年生相当:小学校6年生-高校1年生相当の女子)

任意接種(上記以外(9-10歳以上)の女性およびガーダシル®は9歳以上の男性も対象)

※現時点で厚生労働省は本ワクチンの定期接種の「積極的接種勧奨」を差し控えていますが、対象年齢の女性は定期接種として接種可能です

接種回数

3回

接種間隔

・サーバリックス®(10歳以上の女性)
標準:①②は1か月、①③は6か月あける
標準的な接種ができない場合:
①②は1ヶ月以上、①③は5ヶ月以上、かつ②③は2ヶ月半以上あける

・ガーダシル®(9歳以上の男女)/
 シルガード®9(9歳以上の女性)
標準:①②は2か月、①③は6か月あける
標準的な接種ができない場合:
①②は1ヶ月以上、②③は3ヶ月以上あける

(①:1回目、②:2回目、③:3回目)

接種量

1回0.5ml

費用

定期接種:無料
任意接種:1回約1-2万円(施設により異なる)
    シルガード®9の費用は未定


ワクチンの効果

 HPVワクチンの目的は、子宮頸がんをはじめとするヒトパピローマウイルス(HPV)感染症の原因となるHPVの感染を予防することです。HPV感染を予防することで、子宮頸がんやその前がん病変(異形成、子宮頸部上皮内腫瘍)の発生を減らし、最終的に子宮頸がんによって亡くなる人を可能な限り減らすことを主な目的としています。

 わが国では現時点で3種類のHPVワクチンが承認されています。2価ワクチンと4価ワクチンは子宮頸がん全体の50〜70%の原因を占めるHPV16型と18型の感染予防を主な目的としています¹)。2価ワクチン(サーバリックス®)はHPV16型と18型の2種に対応します。4価ワクチン(ガーダシル®)はHPV16型、18型に加えて、性器の良性病変である尖圭(せんけい)コンジローマの原因となるHPV6型、11型にも対応し、尖形コンジローマも予防します。


9価ワクチン(シルガード®9)は2021年2月24日に発売されたワクチンです。4価ワクチン(ガーダシル®)にさらに5つのHPV型であるHPV31型、33型、45型、52型 、58 型が加わり子宮頸がんの原因となるHPV型の88.2%をカバーします。

 HPV に感染してからがんになるまで時間がかかるため、これまではワクチンの効果は前がん病変の減少で評価されていましたが、2020年「子宮頸がん」が減少することが報告されました。10〜30 歳の女性に対する4 価ワクチンの効果を検討したスウェーデンのコホート研究で、ワクチン接種者と非接種者を比較した場合、年齢補正後の子宮頸がんの発生率比は0.51(95%信頼区間〔CI〕0.32〜0.82)、他の共変量でさらに補正後の子宮頸がん発症率比は0.37(95%CI 0.21〜0.57)でした。17 歳未満で接種した女性は0.12(95%CI 0.00〜0.34)、17〜30 歳で受けた女性は 0.47(95%CI 0.27〜0.75)で、「17 歳未満」で接種したほうが子宮頸がんの発症が88%減少しました 15)

 そのほか、HPVワクチンを早期に導入した国では、ワクチン型のHPV感染が劇的な減少(最大90%の減少)と前がん病変の減少(最大85%の減少)が報告され²、高い予防効果を認めています。日本国内からも前がん病変のHPV感染率の有意な減少が報告されています。

 HPVワクチンは、接種時にすでに感染しているHPVは排除できず、すでに生じているHPV感染症の進行予防効果もありません。そのため、HPVに感染するリスクである性交渉を経験する前にHPVワクチンを接種することが望ましいとされています。また、HPVワクチンはすべてのタイプのHPV感染を予防できるわけではないため、HPV接種後も定期的に子宮頸がん検診を受けることが大切です。

2020年12月に肛門がんや尖圭コンジローマの予防を目的として9歳以上の男性にも4価ワクチン(ガーダシル®)を接種できるようになりました。現在、男性への接種は任意接種ですが、海外では男性に対して定期接種を行なっている国もあります。

2価ワクチン(サーバリックス®)と9価ワクチン(シルガード®9)の対象は女性のみです。

どんな人にお勧め?

HPVに感染する機会となる性交渉を経験する前にHPVワクチンを接種することがお勧めされています。性交渉歴があるひとにもまだ感染していない型のHPVには予防効果が期待できます。

 添付文書では接種対象女性の年齢の上限はありません。
 米国では女性は26歳までの接種が推奨されています³。
 海外の報告では、接種年齢が45歳まではHPVワクチンの効果が認められています⁴。

感染していない型のHPV に対する「新規感染」を予防し、「CIN(子宮頸部異形成、子宮頸部上皮内腫瘍)」や「尖圭コンジローマ」を有意に減少するため、医師と話し合いのうえ、接種を行うことが考慮できるとしています 16)

 米国では男性は21歳まで(免疫不全があるひとや、男性同士の性的接触があるひと(男性同性間性的接触者、MSM)では26歳まで)の接種が推奨されています³。

接種スケジュール作成のポイント

3回目の接種が完了する前に、途中で接種を控えていた場合は定期接種の対象年齢(小学6年生〜高校1年生に相当する年齢)であれば、定期接種として接種することができます。

ワクチンの副反応

主な副反応として、発熱や接種した部位の痛みや腫れ、注射による痛み、恐怖、興奮などをきっかけとした失神などが報告されています。頻度は非常に少ないですが、アナフィラキシー(約96万接種に1回の割合)、ギラン・バレー症候群(約430万接種に1回の割合)、急性散在性脳脊髄炎(ADEM)(約430万接種に1回の割合)などの重い症状が報告されています⁵。

多様な症状について

また、HPVワクチン接種後に報告された、広い範囲に広がる痛みや、手足の動かしにくさ、不随意運動(動かそうと思っていないのに体の一部が動いてしまうこと)などを中心とする『多様な症状』は、「HPV ワクチン関連神経免疫異常症候群(HPV vaccine associated neuropathic syndrome:HANS)」と呼ばれていますが、現在までにHPVワクチンが原因であるという因果関係を証明する科学的・疫学的根拠は示されていません⁶。

HPVワクチンの副反応疑い報告頻度は0.08%(2,584人/約338万人)、副反応疑い報告で確認できている未回復の割合は0.005%(186人/約338万人)であり⁷、海外での大規模比較試験では、接種者と非接種者間に重大な有害事象の発生率に差はありませんでした6、8、9、10。

ワクチンの禁忌

HPVワクチンによる強いアレルギー症状(アナフィラキシーなど)を起こしたことがある場合以外に禁忌はありません。

参考サイト

1) ヒトパピローマウイルス(HPV)ワクチンに関するファクトシート(平成22年版). 国立感染症研究所.
http://www.mhlw.go.jp/stf2/shingi2/2r9852000000bx23-att/2r9852000000byb3.pdf

2) 4価HPVワクチンの効果を検証した研究(英語)
Garland SM, et al.
Impact and Effectiveness of the Quadrivalent Human Papillomavirus Vaccine: A Systematic Review of 10 Years of Real-world Experience.
Clin Infect Dis. 2016 Aug 15;63(4):519-27. doi: 10.1093/cid/ciw354. Epub 2016 May 26.
https://academic.oup.com/cid/article/63/4/519/2566619

3) HPVワクチンの推奨.(英語). 米国疾病管理予防センター(CDC).
https://www.cdc.gov/vaccines/vpd/hpv/hcp/recommendations.html

4) HPVワクチンの26歳以上の女性における効果・安全性を検証した研究(英文)
Wheeler CM, et al.
Efficacy, safety, and immunogenicity of the human papillomavirus 16/18 AS04-adjuvanted vaccine in women older than 25 years: 7-year follow-up of the phase 3, double-blind, randomised controlled VIVIANE study
https://www.sciencedirect.com/science/article/pii/S1473309916301207#sec1

5) ヒトパピローマウイルス感染症(子宮頸がん予防ワクチン). 厚生労働省. 
http://www.mhlw.go.jp/bunya/kenkou/kekkaku-kansenshou28/

6) 第32回厚生科学審議会予防接種・ワクチン分科会副反応検討部会、平成29年度第10回薬事・食品衛生審議会医薬品等安全対策部会安全対策調査会(合同開催)資料.(平成29年12月22日). 厚生労働省. 
http://www.mhlw.go.jp/stf/shingi2/0000189287.html

7) 第15回厚生科学審議会予防接種・ワクチン分科会副反応検討部会、平成27年度第4回薬事・食品衛生審議会医薬品等安全対策部会安全対策調査会 資料.(平成27年9月17日). 厚生労働省. 
http://www.mhlw.go.jp/stf/shingi2/0000097690.html

8) 海外での4価HPVワクチンの多発性硬化症などに対する安全性を検証した研究(英語)
Sheller NM, et al.
Quadrivalent HPV vaccination and risk of multiple sclerosis and other demyelinating diseases of the central nervous system.
JAMA. 2015 Jan 6;313(1):54-61. doi: 10.1001/jama.2014.16946.
https://jamanetwork.com/journals/jama/fullarticle/2088853

9) HPVワクチン:WHOポジションペーパー2017(英語、仏語). 世界保健機関(WHO). 
http://apps.who.int/iris/bitstream/10665/255353/1/WER9219.pdf?ua=1

10) HPVワクチンの安全性について(2017年)(英語) .世界保健機関(WHO). 
http://www.who.int/vaccine_safety/committee/topics/hpv/June_2017/en/

11)子宮頸がん予防ワクチンの有効性について. 厚生労働省. 
http://www.mhlw.go.jp/file/05-Shingikai-11121000-Iyakushokuhinkyoku-Soumuka/0000035618.pdf

12)ヒトパピローマウイルス感染症(子宮頸がん予防ワクチン)
  HPVワクチンに関する情報提供について (平成30年1月). 厚生労働省. 
http://www.mhlw.go.jp/bunya/kenkou/kekkaku-kansenshou28/

13)ヒトパピローマウイルス(HPV)ワクチン作業チーム報告書(ファクトシート追加編). 厚生労働省.
http://www.mhlw.go.jp/stf/shingi/2r98520000014wdd-att/2r98520000016rqg.pdf

14)HPVワクチンの効果と副反応について検証した26件(73,428名の参加者)の臨床試験を統合して検討した研究(2018年. コクランレビュー、英語).
Arbyn M, Xu L, Simoens C, Martin-Hirsch PPL. Prophylactic vaccination against human papillomaviruses to prevent cervical cancer and its precursors. 
Cochrane Database of Systematic Reviews 2018, Issue 5. Art. No.: CD009069. DOI:
10.1002/14651858.CD009069.pub3.
http://cochranelibrary-wiley.com/doi/10.1002/14651858.CD009069.pub3/abstract

15)ヒトパピローマウイルス(HPV)ワクチンによって子宮頸がんが減少した報告
Lei J, Ploner A, Elfström KM, Wang J, Roth A, Fang F, Sundström K, Dillner J, Sparén P. HPV Vaccination and the Risk of Invasive Cervical Cancer. N Engl J Med. 2020 Oct 1;383(14):1340-1348. doi: 10.1056/NEJMoa1917338. PMID: 32997908.
https://www.koishikawa-cl.com/pdf/nejmoa1917338.pdf

16)U.S. Food and Drug Administration : FDA approves expanded use of Gardasil 9 to include individuals 27 through 45 years old. FDA news release, 2018.
https://www.fda.gov/news-events/press-announcements/fda-approves-expanded-use-gardasil-9-include-individuals-27-through-45-years-old