ワクチンと病気について
病気(VPD)について
RSウイルス感染症について
- 2026-09-23
RSウイルス感染症とは
RSウイルス感染症は、RSウイルスが原因の急性呼吸器感染症です。乳幼児に多くみられ、生後1歳までに50%以上、2歳までにほぼ100%がRSウイルスに感染すると言われています1)。乳幼児の初感染では時に重症化することがあります。年長児や成人における再感染例では重症になることは少ないですが、最近では高齢者施設での集団発生2)など、高齢者でのRSウイルス感染が注目されています。
| 感染経路 | 飛沫感染・接触感染 |
| 潜伏期 | 2〜8日間 |
| 感染力(R0)* | 3 |
| 感染症法 | 5類感染症 |
※R0:基本再生産数:集団にいる全ての人間が感染症にかかる可能性をもった(感受性を有した)状態で、一人の感染者が何人に感染させうるか、感染力の強さを表します。つまり、数が多い方が感染力が強いということになります。
主な症状は
初感染の場合、発熱、鼻汁などの上気道症状が出現し、通常は7〜12日程度で自然に軽快します。上気道症状に続いて、約20〜30%で気管支炎や肺炎などを合併することがあり、喘鳴、呼吸困難、哺乳力低下などのために入院が必要になることもあります。乳幼児における肺炎の約50%、細気管支炎の約50〜90%がRSウイルスが原因と言われています。生後6か月未満の乳児、早産児や生後24か月以下で免疫不全、心疾患、肺疾患などの基礎疾患を有する乳幼児は特に注意が必要です。
年長児や成人における再感染例では重症化は少ないですが、高齢者や慢性肺疾患(喘息、COPD)、慢性心疾患、免疫不全などの基礎疾患がある成人、高齢者施設に暮らす成人については重症化のリスクが高いと言われています3)。
年長児や成人における再感染例では重症化は少ないですが、高齢者や慢性肺疾患(喘息、COPD)、慢性心疾患、免疫不全などの基礎疾患がある成人、高齢者施設に暮らす成人については重症化のリスクが高いと言われています3)。
診断方法は
呼吸器分泌物よりRSウイルスを分離・同定するか、抗原迅速診断キットにより診断します。なお、抗原迅速検査の保険適用は、入院中の患者、1歳未満の乳児、バリビズマブ製剤適応患者のみが対象となります。
治療法は
特異的な治療法はなく、対症療法が中心です。重症化した場合には、酸素投与、人工呼吸器管理などが行われることもあります。
予防法は
RSウイルス感染症の予防には、以下の方法があります。
1) モノクローナル抗体製剤
1) モノクローナル抗体製剤
RSウイルス感染症の予防に使用されるモノクローナル抗体製剤には、パリビズマブ(シナジス®)、ニルセビマブ(ベイフォータス®)、クレスロビマブ(エヌフロンシア®)があります。これらはワクチンではなく、RSウイルスに対する抗体を直接投与することで感染による下気道疾患や重症化を予防する薬剤です。
パリビズマブ(シナジス®)は、RSウイルス感染症の重症化リスクが高い早産児や、先天性心疾患、慢性肺疾患などの基礎疾患を有する乳幼児を対象として、RSウイルス流行期に原則として月1回筋肉内注射します4)。
ニルセビマブ(ベイフォータス®)は長期間作用型のモノクローナル抗体で、RSウイルス感染症の重症化リスクが高い新生児、乳児および幼児を対象として、通常、RSウイルス流行期に1回筋肉内注射します5)。
2026年8月21日には、新たな長期間作用型モノクローナル抗体製剤であるクレスロビマブ(エヌフロンシア®筋注シリンジ105mg)が発売されました。生後初回のRSウイルス感染流行期を迎える新生児・乳児が対象で、早産児や基礎疾患を有する重症化リスクの高い児だけでなく、それ以外のすべての新生児・乳児にも使用することができます。体重にかかわらず105mgを1回筋肉内注射します6)。
なお、エヌフロンシア®は薬価基準に収載されておらず、2026年9月現在、健康保険の給付対象ではありません。このため、投与する場合は自由診療となります。投与の適否については、日本小児科学会の「日本におけるクレスロビマブの使用に関するコンセンサスガイドライン」7)などを参考に、保護者と医師で相談して検討します。
<パリビズマブ(シナジス®)の主な対象4)>
・在胎期間28週以下の早産で、12か月齢以下の新生児・乳児
・在胎期間29~35週の早産で、6か月齢以下の新生児・乳児
・過去6か月以内に気管支肺異形成症の治療を受けた24か月齢以下の乳幼児
・血行動態に異常のある先天性心疾患を有する24か月齢以下の乳幼児
・その他、添付文書に定められた重症化リスクを有する乳幼児
・在胎期間28週以下の早産で、12か月齢以下の新生児・乳児
・在胎期間29~35週の早産で、6か月齢以下の新生児・乳児
・過去6か月以内に気管支肺異形成症の治療を受けた24か月齢以下の乳幼児
・血行動態に異常のある先天性心疾患を有する24か月齢以下の乳幼児
・その他、添付文書に定められた重症化リスクを有する乳幼児
<ニルセビマブ(ベイフォータス®)の主な対象5)>
・在胎期間28週以下の早産で、12か月齢以下の新生児・乳児
・在胎期間29~35週の早産で、6か月齢以下の新生児・乳児
・過去6か月以内に慢性肺疾患の治療を受けた24か月齢以下の乳幼児
・血行動態に異常のある先天性心疾患を有する24か月齢以下の乳幼児
・免疫不全やダウン症候群を有する24か月齢以下の乳幼児
・在胎期間28週以下の早産で、12か月齢以下の新生児・乳児
・在胎期間29~35週の早産で、6か月齢以下の新生児・乳児
・過去6か月以内に慢性肺疾患の治療を受けた24か月齢以下の乳幼児
・血行動態に異常のある先天性心疾患を有する24か月齢以下の乳幼児
・免疫不全やダウン症候群を有する24か月齢以下の乳幼児
<クレスロビマブ(エヌフロンシア®)の対象6)>
・生後初回のRSウイルス感染流行期を迎えるすべての新生児・乳児
・生後初回のRSウイルス感染流行期を迎えるすべての新生児・乳児
このうち重症化リスクの高い児として使用する場合は、生後初回のRSウイルス感染流行期の流行初期において、在胎期間35週以下の早産児、過去6か月以内に慢性肺疾患の治療を受けた児、血行動態に異常のある先天性心疾患を有する児、ダウン症候群を有する児など、添付文書に定められた条件6)を確認して投与します。
2) RSウイルスワクチン
60歳以上のハイリスク患者の重症化予防を目的としたワクチン、新生児および乳児におけるRSウイルス下気道疾患予防として妊婦に接種できるワクチンがあります。
ワクチンの詳細はこちらをご参照ください。
参考文献・サイト
この記事をシェアする








