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新型コロナウイルス感染症 COVID-19 について

  • 2023-04-23
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新型コロナウイルス感染症とは

日本では「新型コロナウイルス感染症」と呼ばれ,海外では「COVID-19(コビッド・ナインティーン)」と呼ばれるこの病気は,新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)が原因の感染症です。新型コロナウイルスは文字どおり新しく生まれた病原体(新興病原体)で,2019年12月末に中国・武漢市での集団発生が報じられて以降,瞬く間に世界中に拡大しました.

世界保健機関(WHO)によると,発生から3年あまりが経過した2023年4月時点で,世界中で7億人以上が感染(検査で確定)し700万人が死亡したとされています.ただしオミクロン株(後述)が拡大し始めた2022年はじめ頃から世界各国で検査や行動制限などが縮小されたため,実際の感染者数はWHO発表値よりもっと多い可能性もあります.

感染経路飛沫感染、接触感染
※飛沫感染よりも小さな粒子が長時間室内を漂うことで感染が拡がる「マイクロ飛沫感染」も起きると考えられています。空気感染と同じとする考え方もあります。
潜伏期間1-14日
※当初のウイルス(従来株)の潜伏期間は平均して5日前後でしたが、日本の第5波(2021年7-9月)の中心となったデルタ変異株の潜伏期間は平均3日前後と短くなりました。
周囲へ感染させうる期間発症2日前~7日目(重症者では20日目まで)
1人の患者から感染する平均人数(基本再生産数 R0)従来株 1.2 - 2.5
デルタ変異株 5.0-8.0
感染症法「新型インフルエンザ等感染症」に分類(令和3年2月法改正により指定)
ただちに報告

入院勧告、就業制限が、以下まで続く
①発症日から10日間経過し、かつ、症状軽快後72時間経過
②症状改善24時間以上経過した後、PCRまたは抗原定量検査で2回陰性

主な症状(症状・経過・合併症/重症化した場合)

基本的に呼吸器感染症であり,発熱,倦怠感,関節痛などの全身症状と,咳,咽頭痛,痰,鼻水などの呼吸器症状で始まります.ただし感染しても症状が出ない場合(無症候性感染)も多数あります.

感染経路は主として咳やくしゃみによってうつる飛沫感染ですが,咳やくしゃみがなくとも会話程度で発生する小さな飛沫(マイクロ飛沫とも呼ばれます)でも感染することがわかってきました.マスクは自分が感染しないことに加えて,自分が無症状のまま持っているウイルスを外へ出さない意味でも非常に重要です.
物の表面に付いたウイルスを手で触って目・鼻・口に持っていくことでうつる接触感染は,当初考えられていたようには起きにくいことがわかってきました.しかしあらゆる感染症の基本的対策として,石けんによる手洗いやアルコールによる手指消毒は重要です.

新型コロナウイルスは短期間でウイルス変異を何度も繰り返してきました.
中国・武漢市から最初に報告されたウイルス(「起源株」などと呼ばれます)はウイルス性肺炎を起こしやすく,これが主な死因になりました.同時に全身の血管にも炎症を起こしやすく,血管内にできた血栓が原因で脳梗塞や心筋梗塞につながることもありました.

新型コロナウイルスの変異は細かく見れば数千種類もありますが,その中でも特に感染力や病原性の変化が大きいものにWHOがギリシャ文字の名前を付けてきました.
最初に名付けられたアルファ株(2020年末に登場)は起源株よりも感染力が強くなり,2021年春から夏にかけて世界で急増したデルタ株は病原性も強くなりました.

一方で2021年末から流行し始めたオミクロン株は,感染力はデルタ株よりも強いものの病原性は逆に低下し,致死率(感染した人のうち死亡した割合)はデルタ株の5分の1~10分の1へと低下しました.
厚生労働省が2022年12月時点でまとめた資料によると,オミクロン株が流行し新型コロナワクチン接種も行き渡った2022年夏時点の致死率は,60歳未満で0.01%未満,80歳以上でも1.69%でした.これは季節性インフルエンザによる致死率とほぼ変わらない数字です.

新型コロナウイルス感染症は流行最初期の「指定感染症」を経て2021年2月13日に「新型インフルエンザ等感染症」に指定されました.感染者の隔離,緊急事態宣言などの社会的介入など,流行を抑えるために強い措置が行われてきました.
オミクロン株の流行に伴う致死率の低下,ワクチンの普及,手指消毒やマスク着用などの感染対策の浸透,その他の社会状況を考慮して,新型コロナウイルス感染症は2023年5月8日付で「五類感染症」へと変更されました.これにより感染者の隔離や緊急事態宣言などの強い措置は行われなくなり,感染対策は市民の自主的な対応に委ねられました.

数字だけで見る新型コロナウイルス感染症は,季節性インフルエンザと同レベルになりました.しかし,インフルエンザと異なり,いわゆるコロナ後遺症(罹患後症状,long COVID)が何ヶ月も続く人が多発しており,就業や就学に大きな影響が残ります.他の病気等によって免疫機能が低下した人は,たとえオミクロン株かつワクチン接種後であっても,極めて重症になり命を落とすことも少なくありません.

診断方法

接触歴、症状や身体所見、PCR検査や抗原検査、胸部レントゲンやCTなどを組み合わせて診断します。

病原体診断検査の方法
1 核酸検出検査 PCR 法、LAMP 法など
2 抗原定量検査
3 抗原定性検査

最も精度の高いPCR検査の所用時間は数時間で、一部の医療施設や検査機関、また行政機関で行うことができます。運搬時間などがかかるので、実際に結果がでるまでの所要時間は1日~数日です。検査の正確性を示す「感度」の値は約70-80%です。この場合、結果が陰性となった患者さんの20-30%は実際には陽性である(間違って陰性と判定された)ことを意味します。そのため、PCR検査が陰性であっても本当は感染している可能性を考慮することが重要です。
抗原定量検査は一部の医療機関・検査機関で行われていますが、さほど普及していません。
もっとも簡便な検査は、抗原定性検査です。高度な検査機械がない診療所でも容易に行うことができます。所用時間は10-30分で、発症から9日目以内の時期に行うことができます。ただし感度・特異度ともにPCRよりも低いため、正確性に劣ります。結果が陰性でも、症状等から新型コロナの疑いが残ると医師が判断した場合はPCR検査を行うことが推奨されています。

予防方法

接触・飛沫感染を予防するために、①手洗い(アルコールによる手指消毒も有効)②マスク ③3つの密をさけることが重要です。また、ワクチンの予防効果は約95%と報告されています。ワクチンについては「新型コロナワクチン」のページを参照してください。

とくに、高齢者は重症化しやすいので、ウイルスを家庭内に持ち込まず、家庭内で広げない工夫が重要です。
社会機能や経済活動は保ちながらも,不用意に感染したり流行が拡大しないよう,市民一人一人の適切な感染対策が引き続き重要です.

①手洗い・手指消毒

ウイルスは水で洗い流すことができます。外で物を触った後や帰宅後に手洗いをしましょう。石けんと流水による手洗いを行うことが最も重要です。

手洗いの代わりにアルコール消毒液(濃度70%~95%のエタノール)の消毒も効果があります。

②マスク

マスクは素材や、人と人の距離感等によって効果がことなります。

マスクの素材:
一般的なマスクでは、サージカルマスクが最も高い効果があります。次に布マスク、その次にウレタンマスクの順に効果があります。
自分の顔にぴったりとフィットしているマスクを選ぶことが重要です。
特に、室内で会話する場合は、マスクを正しく着用しましょう。
また、屋外でも感染防止に必要な「最低1メートル」の間隔を確保できない場合はマスクをつけましょう。
自分から相手への感染拡大を防ぐために、話す時はいつでもマスクを着用しましょう。

③3つの密を避ける

「密閉」:
常に換気、または1時間に2回以上の換気をしましょう。換気は風の流れができるように2方向以上の窓を開けましょう。

「密集」:
人との距離をとりましょう。お互いに手を伸ばしても届かない十分な距離(2メートル以上)をとりましょう。

「密接」:
密接した状態での会話や発声を避けましょう。対面での会話が避けられないときには、十分な距離を保ち、マスクを着用しましょう。

参考サイト

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