イメージ

ワクチンと病気について

病気(VPD)について

A型肝炎について

  • 2023-05-07
  • 任意接種
  • 不活化ワクチン
  • 渡航者
  • 無脾・脾摘
  • 腎不全・透析
  • 糖尿病

A型肝炎とは

 A型肝炎ウイルスが原因のウイルス性肝炎です。
 水や食品を介して感染することが多く、ウイルス性肝炎の中ではB型肝炎に並んで多い感染症です。国内では上下水道の整備が進んだ1960年以降に報告数が激減しましたが、現在でも牡蠣などの二枚貝や海産物などを介した感染で年間260例ほどの報告があり、約4年おきに小さな流行がみられます。煮沸しない水(氷を含む)、生野菜や肉などの食品を介して感染することが多いため、上下水道が未整備な発展途上国などへの渡航前には A型肝炎ワクチンの接種が必要です。

感染経路接触感染(糞口感染・性行為感染etc)
潜伏期2-7週間(平均4週間)
周囲に感染させうる期間発症前から発症後数週間
感染症法4類感染症(全数報告:直ちに届出が必要)

主な症状は

 感染してから2-6週間は症状がなく(潜伏期)、その後、発熱、頭痛、倦怠感、筋痛などの全身症状と、食思不振や嘔吐などの消化器症状が始まります。典型的には黄疸、肝腫大、尿色変化などがみられます。血液検査では肝機能異常(AST/GOT・ALT/GPTの上昇)、通常1-2か月で症状も検査所見も回復しますが、中には肝機能の正常化に半年近く要することもあります。
 他のウイルス性肝炎と比べて、慢性化することはなく、症状や検査所見の改善が早いことが特徴ですが、高齢者や慢性の肝疾患がある場合などは劇症化し死亡するケースもあります。一度感染すれば、抗体を獲得し再度感染することはありません(終生免疫)。
 乳幼児が感染しても軽症で済むことが多いです。感染する年代は高齢者が多く、その場合重症化しやすいので注意が必要です。
 また、患者全体の1割が海外渡航者であり、特に中国やインド、東南アジアなどへの旅行の際はワクチン接種が推奨されます。

診断方法は

 血液検査(血清HAV-IgM抗体)で確認します。発症5-10日前頃から陽転化することが多いですが、遅れて陽転化することもありますので、疑ったら再検査を行います。回復期にIgG抗体が陽性となり、生涯陽性を維持します。

治療法は

 抗ウイルス薬はなく、基本的には入院し安静にて支持的な対症療法を行います。

予防法は

 ウイルスに感染した糞便が接触することで感染するため、手洗いや、汚染している可能性のある食品(野菜、氷、水、肉など)は避けるかしっかり流水で洗う、またはしっかり加熱するなどが大切です。アルコール消毒は無効です。その他、流行国へ渡航する際はA型肝炎ワクチンの接種が有効です(3回接種で100%の抗体獲得が期待できます)。

A型肝炎ワクチンについてはこちらを参照。

参考文献・サイト

タイトルとURLをコピーする

この記事をシェアする

  • x
  • facebook