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  • 2023-05-07
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麻しんとは

 麻しんウイルスによる急性ウイルス性発疹症です。一般に「はしか」とも呼ばれます。高熱、上気道症状、眼脂(めやに)などがみられ、その後に特徴的な発疹が出現します。感染力が非常に強いため、一例発症があった場合には集団発生へとつながるリスクがあります。肺炎、中耳炎、脳炎などの合併症が出ることがあり、注意が必要です。
 日本では、2007-2008年に10ー20歳代を中心に大きな流行がみられるなど、国内で麻しんが流行し、また、世界的にも麻しん輸出国などと揶揄される時期もありました。2006年より麻しん風しん混合(MR)ワクチンの2回接種(定期接種)が導入されると徐々に患者数は減少し、2015年には世界保健機関(WHO)より麻しん排除状態にあると認定されました。しかし、2016年関西国際空港での麻しん集団発生、2018年の沖縄など、輸入例を発端とした集団発生例がみられ、特に2019年は2009年以降最多の744名が報告されました。2020年以降は発生数が減少し、2020年は12名、2021年は6名となりました1)

感染経路空気感染、飛沫感染、接触感染 
潜伏期10-12日
周囲に感染させうる期間症状出現1日前-発疹出現後4-5日2)
感染力(R0)※112-183)
学校保健安全法第二種(出席停止期間:解熱後3日経過するまで)
感染症法5類感染症(全数報告、直ちに届出が必要)
※1 R0:基本再生産数:集団にいる全ての人間が感染症に罹る可能性をもった(感受性を有した)状態で、一人の感染者が何人に感染させうるか、感染力の強さを表します。つまり、数が多い方が感染力が強いということになります。

主な症状は

 10-12日程度の潜伏期を経て発症し、高熱、上気道症状、目の充血、眼脂などが出現(カタル期)した後、一旦解熱後に再度高熱となり、全身に拡がる紅斑がみられるようになります(発疹期)。発疹出現3-4日後に解熱し、徐々に改善していきます(回復期)。カタル期が最も感染力が強い時期です。
 肺炎、脳炎、中耳炎などの合併症を起こすことがあり、脳炎や肺炎を合併すると生命の危険や後遺症の恐れがあります。麻しんにかかってから数年後に亜急性硬化性全脳炎(SSPE)という重篤な合併症を起こすこともあります。

診断方法は

 上記の典型的な経過がある場合に疑うことが重要です。身体症状としては、カタル期にみられることのある、奥歯の近くの頬の粘膜に白色の小さな斑点(コプリック斑)が特徴的です。疑った場合には、血液、咽頭ぬぐい液、尿の検体からPCR検査やウイルス分離検査を実施し、確定診断を行います。

治療法は

 有効な治療方法がないため、対症療法が中心となります。

予防法は

 感染力が非常に強く、空気感染をするため、手洗いやマスクのみでの予防は困難です。予防接種(生涯で計2回)が最も有効な予防方法です。過去に麻疹にかかったことのない人は、不足回数分を(接種歴が不明な場合は2回)接種を済ませてください。 
 
麻しん風しん混合(MR)ワクチンについてはこちらを参照。

参考文献・サイト

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