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RSウイルス感染症について

  • 2024.07.15
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  • 不活化ワクチン
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  • 高齢者
  • 妊婦・妊娠可能な女性
  • 腎不全・透析
  • 糖尿病
  • 心不全・心筋梗塞
  • 肺疾患
  • HIV・免疫不全・ステロイド・免疫抑制剤

RSウイルス感染症とは

RSウイルス感染症は、RSウイルスが原因の急性呼吸器感染症です。乳幼児に多くみられ、生後1歳までに50%以上、2歳までにほぼ100%がRSウイルスに感染すると言われています1)。乳幼児の初感染では時に重症化することがあります。年長児や成人における再感染例では重症になることは少ないですが、最近では高齢者施設での集団発生2)など、高齢者でのRSウイルス感染が注目されています。 

感染経路    

飛沫感染・接触感染

潜伏期

2〜8日間

感染力(R0)*

3

感染症法

5類感染症


※R0:基本再生産数:集団にいる全ての人間が感染症に罹る可能性をもった(感受性を有した)状態で、一人の感染者が何人に感染させうるか、感染力の強さを表します。つまり、数が多い方が感染力が強いということになります。

主な症状は
初感染の場合、発熱、鼻汁などの上気道症状が出現し、通常は7〜12日程度で自然に軽快します。上気道症状に続いて、約20〜30%で気管支炎や肺炎などを合併することがあり、喘鳴、呼吸困難、哺乳力低下などのために入院が必要になることもあります。乳幼児における肺炎の約50%、細気管支炎の約50〜90%がRSウイルスが原因と言われています。生後6か月未満の乳児、早産児や生後24か月以下で免疫不全、心疾患、肺疾患などの基礎疾患を有する乳幼児は特に注意が必要です。
年長児や成人における再感染例では重症化は少ないですが、高齢者や慢性肺疾患(喘息、COPD)、慢性心疾患、免疫不全などの基礎疾患を有する成人、高齢者施設に暮らす成人については重症化のリスクが高いと言われています3)

診断方法は
呼吸器分泌物よりRSウイルスを分離・同定するか、抗原迅速診断キットにより診断します。なお、抗原迅速検査の保険適用は、入院中の患者、1歳未満の乳児、バリビズマブ製剤適応患者のみが対象となります。

治療法は
特異的な治療法はなく、対症療法が中心です。重症化した場合には、酸素投与、人工呼吸器管理などが行われることもあります。

予防法は
RSウイルス感染症の予防には、以下の方法があります。

1) モノクローナル抗体製剤
RSウイルス感染による重症化リスクの高い新生児、乳児が対象になります。2024年4月現在使用可能なバリビズマブ(シナジス®)では、以下のようなハイリスク児に対して、感染流行初期に毎月1回筋肉注射を行います4)。また、長期間作用型モノクローナル抗体製剤であるニルセビマブ(ベイフォータス®)が2024年3月に販売承認を受けました。

<バリビズマブ対象患者>
・在胎期間28週以下の早産で、12か月齢以下の新生児および乳児
・在胎期間29〜35週の早産で、6か月齢以下の新生児および乳児
・過去6か月以内に気管支肺異形成症(BPD)の治療を受けた24か月齢以下の新生児、乳児及び幼児
・24か月齢以下の血行動態に以上のある先天性心疾患(CHD)の新生児、乳児および幼児
・24か月齢以下の免疫不全、ダウン症候群、肺低形成、気道狭窄、先天性食道閉鎖症、先天代謝異常症、神経筋疾患を伴う新生児、乳児および幼児

2) RSウイルスワクチン
60歳以上のハイリスク患者の重症化予防を目的としたワクチン、新生児および乳児におけるRSウイルス下気道疾患予防として妊婦に接種できるワクチンがあります。ワクチンの詳細はこちらをご参照ください。

参考文献・サイト

1)  RSウイルス感染症.国立感染症研究所.

2)  新型コロナウイルス流行期に高齢者施設で発生したRSV-Bの集団感染事例. 国立感染症研究所.

3) RSV in Older Adults and Adults with Chronic Medical Conditions. CDC(米国疾病管理予防センター).

4) シナジス添付文書